2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H03615
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
荒木 良子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線障害治療研究部, チームリーダー(定常) (40392211)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ゲノム初期化 / iPS細胞 / 点突然変異 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、iPS細胞のサブライン(iPS細胞株を構成する細胞を個々に分けて樹立したもの)における変異解析により、ゲノムリプログラミングの最初の数分裂の間に点突然変異が起こることを明らかにしてきた。この結果は、ゲノムリプログラミング時には、エピゲノムの変化に伴い、ゲノムも、様々なストレスに晒されることを示唆する。ゲノムリプログラミングの真の理解には、上記ストレスの原因や、細胞側のストレス応答機構について明らかにすることが必要である。 H30年度は、ゲノムリプログラミング中のストレス応答機構を、細胞周期、およびそれらに関わる分子について、フローサイトメーターおよびウェスタンハイブリダイゼーションを用いて解析し、ゲノムリプログラミングを生じない細胞とは異なる応答を示すことを明らかにした。 また、マウスiPS細胞樹立時に、活性酸素を低減化させることを目的に、スカベンジャーの培地への添加、および、初期化因子と同時に抗酸化酵素を発現させる実験系を構築した。スカベンジャーが機能していることは、蛍光分子を用いたアッセイにより確認された。樹立したiPS細胞株の全ゲノムシーケンシングおよび点突然変異解析を実施し、結果を解析した。 更に、レトロウイルス法、センダイウイルス法、エピゾーマル法による3種類の方法を用いてヒトiPS細胞樹立実験系を構築し、マウスと同様に、細胞周期およびその関連分子の解析を行うと同時に複数のクローンの樹立に成功し、一部のクローンについて、未分化マーカーの解析、全ゲノムシーケンシングおよび点突然変異解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの実験を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年間で得られた結果を元に、iPS細胞における点突然変異の低減化に注力する。
|