2020 Fiscal Year Annual Research Report
マルチオミクス解析によるクマムシ乾眠機構の全体像の解明
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17H03620
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
荒川 和晴 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 准教授 (40453550)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クマムシ / 乾眠 / トランスクリプトーム / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
紫外線照射およびDNA損傷誘導剤(Bleomycin)による交叉耐性を網羅的に比較ゲノム・トランスクリプトーム解析によって候補遺伝子をin s ilicoでスクリーニングし、乾眠関連遺伝子のうちこれまでの解析でまだ捉えきれていない遺伝子を網羅的に抽出した。具体的には、1. 乾眠状態で高発現であり、2. ヤマクマムシなどの乾眠誘導型の種で発現誘導され、3. 紫外線照射や酸化ストレスによって交叉耐性が確認され、 4. 複数の種で遺伝子が保存され、5. 天然編成領域を多く含み、6. クマムシ以外に保存されていない遺伝子を網羅的に抽出した。結果、100個あまりの乾眠関連遺伝子候補が得られ、この中には既知のCAHSタンパクや、本研究課題で新規に発見した抗酸化タンパクAMNPなどが含まれていた。クマムシの乾眠関連非構造タンパクは実に多岐にわたることが示唆される。
また、Bleomycin処理ではトリプトファン代謝が大きく亢進することが発現変動解析から明らかになった。トリプトファン代謝はキヌレニンやキサンツレン酸、各種キノリンなど抗酸化に関わる代謝産物が多く生成される。これまでの解析からも乾眠における細胞防御機構の本丸は抗酸化であることがさまざまなエビデンスから示されてきたが、あらためてそれが裏付けられ、また、抗酸化に代謝物質も寄与している可能性が示された。
乾眠に関わるシグナルの解析では、これまでにAMPKシグナリングが乾眠準備に必須であることを示してきたが、これに関連してAMPK activatorとして哺乳類で機能するD942による薬剤処理が乾眠誘導と同様の効果をもたらすことを明らかにした。しかし、クマムシにおいてはD942が直接AMPKを活性化するための標的タンパクが存在しないため、何かしらの別経路が存在すると考えられる。プロテオーム解析によってD942誘導後の変動を解析したところ、ここでも抗酸化経路の亢進が確認されている。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(13 results)