2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on noncoding RNA-dependent architecture of nuclear 3D structure
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17H03630
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
廣瀬 哲郎 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30273220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNA / クロマチン動態 / 核構造・機能 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
NEAT1 lncRNAがクロマチン3D構造に影響を与えている可能性を検証するために、NEAT1 KO細胞株と野生型細胞を用いて、ゲノムワイドなクロマチンの3D構造解析を国際共同研究によるHiC解析によって実施した。今年度は、HiC解析によって見出された特定のクロマチン座位における3D構造変化を検出したところ、クロマチン座位上のTAD構成がNEAT1 KO株において変化している領域が複数のクロマチンにおいて見出された。さらにA/Bコンパートメントの分布が、NEAT1 KO株において著しく変化している領域が複数検出された。こうしたことからNEAT1は、パラスペックル構造体を介して、核内クロマチンの局所的な3D構造構築とそれに伴う活性制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。次にNEAT1 lncRNAによるパラスペックル形成と細胞内相分離との関係を解析した。前年度に同定したNEAT1中のパラスペックル形成に必要なRNAドメインとそこに結合するタンパク質が、in vitroにおいても相分離した凝集体を形成できることを再現することに成功し、その成果をMol Cell誌に発表した。今後こうした特異的なRNA領域によって誘導される相分離が、上記で見出されたクロマチンの局所的な3D構造形成にどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目指す予定である。さらにパラスペックルに続く第二のncRNA依存的非膜性構造体として、熱ストレスによって誘導されるHSATIII ncRNAを骨格とした核内ストレス体の解析を開始した。今年度は、アンチセンス核酸によってHSATIII複合体を回収するChIRP法を駆使して核内ストレス体を回収し、その構成タンパク質を質量分析によって同定することに成功した。今後この分画に含まれるクロマチン座位を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに整備してきたNEAT1 lncRNAの変異細胞を用いたゲノムワイドなHiC解析によって、NEAT1が確かにクロマチンの3D構造形成と活性制御に重要な役割を果たしていることを示すことができたことは大きな成果と言える。一方で、クロマチン構造形成のハブとなっている非膜性構造体パラスペックルの形成に必要なRNAドメインや相互作用タンパク質の情報が得られ、それらの因子による細胞内相分離の重要性を示すことに成功して、その成果を一流ジャーナルに論文を発表することができたことは計画以上の進展と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、NEAT1 lncRNAが特異的なRNAドメインを介して相分離構造体のパラスペックルを形成し、そのパラスペックルを足場として複数のクロマチンの局所的3D構造が決定されているというlncRNAを起点とした階層構造が徐々に明らかになってきた。そこで次年度は、これらのNEAT1領域とクロマチン構造の仲立ちをするタンパク質因子を明らかにして、相分離した非膜性構造体がどのように特異的なクロマチンと相互作用して3D構造を構築しているのかを明らかにすることを目指す。
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