2018 Fiscal Year Annual Research Report
Transcription-coupled pre-mRNA processing in living animal
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17H03633
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 新生RNA / 線虫 / 組織特異性 / 転写後プロセシング / mRNA / RNAseq / 代謝標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究課題は、線虫をモデルとしてmRNA前駆体のプロセシングが転写伸長と共役して進行していく過程を個体レベルでゲノムワイドに明らかにすることを目指している。そのために、同調した線虫個体から調製した核画分を用いて核run-on法で転写伸長途中の新生mRNA前駆体を標識してから全RNAを精製しさらに標識RNAを精製してライブラリを調製し、新学術領域研究「先進ゲノム支援」の支援を受けて全長RNAシーケンス解析を行った。得られた配列データの生物情報学的解析を行い、mRNA前駆体の3'末端=RNAポリメラーゼIIの転写位置とスプライシング完了率の関係性を全イントロンのデータを総計して解析した。その結果、酵母ではイントロンが転写されて数十塩基対転写が進んだ段階で50%のスプライシングが完了していると報告されたのに対し、線虫では1,000塩基以上でようやく50%に達することが明らかとなり、酵母と比べてスプライシングに時間を要することが示唆された。前年度には代謝標識による新生RNAの経時変化のRNAseq解析を行っていたが、情報解析方法を工夫した結果、各イントロンについて半減期を推定することができた。全長RNAシーケンス解析については、lst-3変異体についても同様の解析を行い、野生型との比較を進めている。 2.米国Emory大学の斧正一郎博士と共に線虫のトロポミオシンをコードするlev-11遺伝子のスプライスバリアントを詳細に解析し、各選択的エクソンが選択される組織特異性を明らかにして論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画Bについては、遅れていたB1は野生型とlst-3変異体について、新学術領域研究「先進ゲノム支援」の支援を受けて全長RNAシーケンス解析データの返却を受けた。計画Cについては、野生型について、上記の全長RNAシーケンス解析データを元に転写と共役したスプライシングの動態を明らかにした。計画DのRT-PCRによる実験的検証について、全長RNAシーケンス解析と通常のRNAseq解析により予測されたプロセシング順序について解析を試みて概ね期待された結果を得ており、順調に進んでいる。 計画Eについては、LST-3タンパク質と共沈降するタンパク質の精製法に関して、架橋剤で固定しない抽出液では共沈するタンパク質がほとんど見られず、架橋してからの共沈降では逆に100以上の多種類のタンパク質が共沈してしまうため、特異的に結合する因子の同定には至っておらず、当初の計画より遅れている。 計画Gのlst-3変異体を用いた全長RNAシーケンス解析と20分間代謝標識の新生RNAseq解析については新学術領域研究「先進ゲノム支援」の支援を受けて計画どおりデータを得ており野生型と同様の解析を行っている。 計画Hの組織特異的スプライシング制御因子変異体における新生RNAseq解析については、lst-3変異体と同様に既にデータを得ており、順次解析とRT-PCRによる検証を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初の研究計画に沿って、前年度のまでの成果を受けて引き続き研究を進めていく。 計画Eは、架橋剤で固定したクロマチンを出発材料にして、DNA/RNAの酵素的分解を組み合わせることでLST-3と共沈するタンパク質の種類を減らして特異性を上げることを目指す。計画G、Hでは、lst-3および各種スプライシング制御因子変異体の新生RNAシーケンス解析データを野生型と同様の方法で解析して、野生型との違いを見出し、RT-PCRやレポーターミニ遺伝子の作製によって実験的に検証することで、選択的スプライシングの制御モデルを明らかにする。
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