2018 Fiscal Year Annual Research Report
多様な新規ジアシルグリセロールリン酸化経路群の探索・同定とその分子マシナリー
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17H03650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂根 郁夫 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (10183815)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 脂質 / ジアシルグリセロール / ホスファチジン酸 / がん免疫 / セロトニン神経系 / 糖尿病 / α-シヌクレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
新開発の独自手法を用いて,ジアシルグリセロール(DG)キナーゼ(DGK)のα, δ, ηアイソザイム等が利用するDG分子種は,従来の定説に反し「ホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転とは独立し,それぞれが異なる脂肪酸を利用する未知の経路群」により供給されることを示した.しかし,それらの経路の構成因子や分子マシナリーは未だ不明な点が多いので,DGKα,δ,η,βの基質DGの産生系や産生産物ホスファチジン酸(PA)の標的の同定を含め解明することを目的とした.今年度は以下の成果が得られた. 1.DGKαが癌細胞において産生するPA分子種を明らかにした(論文発表済み).2.DGKαの高次構造を決定するための準備として,可溶性モノマーの酵素を高収量で生成することに成功した(発表済み).3.DGKαのEF-ハンドの結晶構造を明らかにし,カルシウム依存性の高次構造変化を解析した(発表済み).4.ミリスチン酸がDGKδの蛋白質量を上昇させる分子メカニズムを明らかにした(発表済み).5.DGKδが骨格筋で産生するPA分子種に対する結合蛋白質を複数検出・同定し,その内クレアチンキナーゼ(筋型)のPA分子種結合について明らかにした(発表済み).6.DGKδは筋芽細胞の分化を制御することを報告した.7.DGKδは,脳内ではセロトニントランスポーターと相互作用し,ユビキチン-プロテアソーム系を介して不安定化すること,更に,DGKδが脳において利用するDG分子種が明らかになった(投稿中).8.DGKη欠損によって引き起こされる様々な転写の変化を明らかにし,更に,DGKηが脳において産生するPA分子種を明らかにした(投稿中).9.DGKβがβカイメリンと相互作用して糸状仮足の形成を制御することを示した(発表済み).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,研究目的・計画に即して研究を行い,全ての項目において進捗が見られた.また,研究項目に関して,既に幾つかは論文を発表済みであり,また,幾つかは論文投稿中あるいは論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,研究目的・計画に即して研究を行う.また,進捗のあった項目については更に前に進める.
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