2017 Fiscal Year Annual Research Report
Single molecule analysis of transport proteins
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17H03660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 力也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (30540108)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 1分子生物物理 / bioMEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの細胞は、リン脂質を主成分とする生体膜によって覆われており、その生体膜を介した分子の取込や排出は、トランスポーターに代表される輸送タンパク質によって制御されている。トランスポーターによる分子の輸送は、栄養素の取込、情報伝達、エネルギー合成など多岐にわたる生理機能と直結しているだけでなく、がん細胞や多剤耐性菌の薬剤への獲得耐性にも関与しているため、トランスポーターの作動機構の解明は、学術・産業の両面において急務とされている。本研究では、自主開発したトランスポーターの1分子計測技術群を総動員することで、構造変化と物質輸送活性の1分子同時計測(1分子構造機能解析)を実現し、トランスポーターにおける構造と機能の相関関係を直接的に解明しようと考えている。また、明らかにされた構造機能相関をもとにトランスポーターの作動機構の細部に迫りたいと考えている。
本年度の成果としては以下の2点があげられる。 1, 生体膜チップを利用したFoF1の構造変化(回転運動)と機能(プロトン輸送)の相関計測を実現した。具体的には、従来機能解析に利用してきた生体膜チップ上に、FoF1の回転運動を可視化するための機構を実装した。
2, FoF1の異種エネルギー変換に寄与する、epsilonサブユニットの役割を詳細にわたり解明した。具体的には、epsilonサブユニットによってFoF1の化学力学共役関係が反応素過程単位でどのような制御を受けているのかを詳細にわたって解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の目標であった、トランスポーターの構造変化と機能の同時計測の実現において見通しがついた。当該技術を機軸として来年度の研究を円滑にすすめることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度開発した技術を利用し、「FoF1の異種エネルギー変換特性」に焦点をあて、作動機構の解明を目指す。具体的には、プロトンの輸送個数と累積回転数の比較から1回転で輸送されるプロトンの個数を同定する。ちなみに、現在のFoF1のプロトン輸送モデルでは、1回転あたりのプロトン輸送量はFoF1のプロトン結合部位の構造対称性を反映していると考えられており、本計測からモデルの妥当性および共役効率を検証する。
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