2017 Fiscal Year Annual Research Report
パターン化人工膜を用いた広範な膜タンパク質のラフト親和性と機能の解析
Project/Area Number |
17H03666
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森垣 憲一 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (10358179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 文夫 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (80093524)
鈴木 健一 岐阜大学, 研究推進・社会連携機構, 教授 (50423059)
笠井 倫志 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (20447949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体膜 / 受容体 / ラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜の微小ドメイン構造(ラフト)は、膜タンパク質の機能調節に重要な役割を果たすと考えられている。研究代表者は、ラフト領域と非ラフト領域が明確に分かれているパターン化人工膜を用いて、膜タンパク質のラフト親和性を定量する手法を開発した。本研究は、細胞膜断片(blebs)を直接人工膜に導入することで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発することを目的とする。平成29年度には、①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製、②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成、に関する技術開発を行った。 ①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製:人工膜としては、光重合性リン脂質を光リソグラフィー技術でUV重合することでポリマー脂質膜を作製した。ポリマー膜量を調節して、 (a)流動性脂質膜、(b)部分重合膜(生体脂質とポリマー脂質の混合膜)、(c)ポリマー脂質膜の3領域を作製した。ナノ空間は、厚さの制御された接着層(高密度な親水性高分子鎖(高分子ブラシ)を被覆したシリカ微粒子)を用いて人工膜とPDMSを結合することで作製した。流動性脂質膜部位の膜とPDMSの間に厚さ10~100 nmのナノ空間が形成された。そして、膜タンパク質を導入して1分子蛍光観察することに成功した。 ②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成:細胞由来の膜断片(blebs)を用いて、哺乳類細胞の膜タンパク質を人工膜に直接導入する技術を開発した。精神疾患に関わる重要なGPCRであるドーパミン受容体(D2R)および免疫系などで重要な役割を果たすGPIアンカー型タンパク質(GPI-AP)をCHO細胞に発現し、ハロタグを用いて蛍光標識してから薬剤処理で膜断片を形成した。膜断片を人工膜に導入し、PDMSとの境界領域でD2RおよびGPI-APが2次元拡散していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、細胞膜断片(blebs)を直接人工膜に導入することで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発することを目的とする。平成29年度には、①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製、②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成、に関する技術開発を行った。人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製では、光重合性リン脂質を用いて、ポリマー脂質膜、部分重合膜(生体脂質とポリマー脂質の混合膜)、流動性膜を含んだパターン化人工膜を作製した。そして、高密度な親水性高分子鎖(高分子ブラシ)を被覆したシリカ微粒子を用いて人工膜とPDMSを結合することで、流動性脂質膜部位の膜とPDMSの間に厚さ10~100 nmのナノ空間が形成し、膜タンパク質を導入して1分子蛍光観察することに成功した。パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成では、細胞由来の膜断片(blebs)を用いて、哺乳類細胞の膜タンパク質を人工膜に直接導入する技術を開発した。ドーパミン受容体(D2R)およびGPIアンカー型タンパク質(GPI-AP)をCHO細胞に発現し、ハロタグを用いて蛍光標識してから薬剤処理で膜断片(blebs)を形成する技術を確立した。そして、膜断片を人工膜に導入し、PDMSとの境界領域でD2RおよびGPI-APが2次元拡散していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、以下の検討を行うことで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発したい。 ①パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成:あらかじめ形成された人工膜に、細胞由来の膜断片(blebs)を融合し、哺乳類細胞の膜タンパク質を人工膜に直接導入する技術を開発する。これまでの検討からblebs由来のD2R、GPI-APがPDMSとの境界部位で2次元拡散することは観測されている。この結果をさらに発展させて、安定した再構成を実現するために、ポリエチレングリコール、界面活性剤などを溶液に加え膜融合を促進することを試みる。 ②膜タンパク質のラフト親和性測定:ナノ空間を組み合わせた人工膜において、再構成された膜タンパク質のうち、膜内側方拡散により観察部位に移動できる分子のみを選択的に観察する(再構成されなかった分子の影響を最小限に抑える)。観察部位は、厚さが極めて小さく(100 nm以下)、背景蛍光を抑制できるため、細胞内と同等の高濃度で分子が存在する条件でも1分子蛍光観察が可能であると予想される。膜タンパク質としては、既に人工膜でラフト親和性の定量がなされているRhを用いて、視細胞由来の膜断片からRh分子を再構成し、lo相・ld相での存在確率からラフト親和性を定量する。二量体およびRh*-Gt複合体についても、ラフト親和性を定量する。 ③膜タンパク質のラフト局在と機能との相関検証:細胞膜由来のGPCR (D2R)およびGPI-AP (uPAR)を用いてラフト親和性を測定する。膜タンパク質単量体だけではなく、二量体、リガンド結合、複合体形成状態におけるラフト親和性を定量する。凝集や活性化が引き起こすラフト親和性の変化は、ラフトが機能調節にどのような役割を果たすかについて重要な情報を与えるものと期待される。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] Hybrid model membrane combining micropatterned lipid bilayer and hydrophilic polymer brush2017
Author(s)
Morigaki, K., Nishimura, T., Tamura, F., Kobayashi, S., Tanimoto, Y., Sudo, Y., Hayashi, F., Iwasaki, K.
Organizer
253rd American Chemical Society National Meeting
Int'l Joint Research / Invited
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