2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluating the affinity of membrane proteins and lipid raft using a patterned model membrane platform
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17H03666
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森垣 憲一 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 准教授 (10358179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 文夫 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (80093524)
鈴木 健一 岐阜大学, 研究推進・社会連携機構, 教授 (50423059)
笠井 倫志 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (20447949)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体膜 / 膜タンパク質 / 脂質ラフト / 人工膜 / Gタンパク質共役型受容体 / GPIアンカー型タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜の微小ドメイン構造(ラフト)は、膜タンパク質の機能調節に重要な役割を果たすと考えられている。研究代表者は、ラフト領域と非ラフト領域が明確に分かれているパターン化人工膜を用いて、膜タンパク質のラフト親和性を定量する手法を開発した。本研究は、細胞膜断片(blebs)を直接人工膜に導入することで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発することを目的とする。平成30年度には、①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製、②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成、に関する技術開発を行った。 ①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製:人工膜としては、光重合性リン脂質を光リソグラフィー技術でUV重合することでポリマー脂質膜を作製した。ナノ空間は、厚さの制御された接着層(高密度な親水性高分子鎖(高分子ブラシ)を被覆したシリカ微粒子)を用いて人工膜とPDMSを結合することで作製した。粒径100 nmのナノ粒子を用いることで、流動性脂質膜部位の膜とPDMSの間に同程度の厚さを持つナノ空間が形成された。そして、膜タンパク質を導入して1分子蛍光観察することに成功した。 ②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成:細胞由来の膜断片(blebs)を用いて、哺乳類細胞の膜タンパク質を人工膜に直接導入する技術を開発した。精神疾患に関わる重要なGPCRであるドーパミン受容体(DRD2)および免疫系などで重要な役割を果たすGPIアンカー型タンパク質(GPI-AP)をCHO細胞に発現し薬剤処理で膜断片を形成した。膜断片を導入する際の濃度を低く抑えることで、膜断片を平面膜化してDRD2が区画内で側方拡散していることを確認した。また、PDMSとの境界領域においては、区画内に多量のD2RおよびGPI-APが導入され、分子が2次元拡散していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、細胞膜断片(blebs)を直接人工膜に導入することで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発することを目的とする。平成30年度には、①人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製、②パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成、に関する技術開発を行った。人工膜とナノ空間を一体化したバイオチップ作製では、光重合性リン脂質を用いて、ポリマー脂質膜、流動性膜を含んだパターン化人工膜を作製した。ナノ空間は、厚さの制御された接着層(高密度な親水性高分子鎖(高分子ブラシ)を被覆したシリカ微粒子)を用いて人工膜とPDMSを結合することで作製した。粒径100 nmのナノ粒子を用いることで、流動性脂質膜部位の膜とPDMSの間に同程度の厚さを持つナノ空間が形成された。そして、膜タンパク質を導入して1分子蛍光観察することに成功した。細胞由来の膜断片(blebs)を用いて、哺乳類細胞の膜タンパク質を人工膜に直接導入する技術を開発した。精神疾患に関わる重要なGPCRであるドーパミン受容体(DRD2)および免疫系などで重要な役割を果たすGPIアンカー型タンパク質(GPI-AP)をCHO細胞に発現し、ハロタグを用いて蛍光標識してから薬剤処理で膜断片を形成した。膜断片を導入する際の濃度を低く抑え、膜断片導入後にPEG脂質を持ったベシクルを導入することで、膜断片を平面膜化してDRD2が区画内で側方拡散していることを確認した。また、PDMSとの境界領域においては、区画内に多量のD2RおよびGPI-APが導入され、分子が2次元拡散していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、以下の検討を行うことで、大量発現・精製が難しい哺乳類膜タンパク質のラフト親和性を定量する技術を開発したい。 ①パターン化人工膜への膜タンパク質の再構成:昨年度には、細胞由来の膜断片(blebs)をパターン化人工膜に導入することに成功した。また、PDMSとパターン化人工膜の界面において多くの膜タンパク質が導入されていることを確認した。今年度は、この研究成果を発展させて、パターン化人工膜に再構成された膜タンパク質の配向と機能を解析する。一方、PDMSとの界面において多くの膜タンパク質が導入される現象は、ナノギャップ構造を用いてPDMSとパターン化人工膜との距離を制御し、膜タンパク質導入機構を解明するとともに、多量の膜タンパク質を高感度に検出する方法論を確立する。 ②膜タンパク質のラフト親和性測定:ナノ空間を組み合わせた人工膜において、再構成された膜タンパク質のうち、膜内側方拡散により観察部位に移動できる分子のみを選択的に観察する。膜タンパク質としては、既に人工膜でラフト親和性の定量がなされているRhを用いて、視細胞由来の膜断片からRh分子を再構成し、lo相・ld相での存在確率からラフト親和性を定量する。二量体およびRh*-Gt複合体についても、ラフト親和性を定量する。 ③膜タンパク質のラフト局在と機能との相関検証:細胞膜由来のGPCR (DRD2)およびGPI-AP (uPAR)を用いてラフト親和性を測定する。膜タンパク質単量体だけではなく、二量体、リガンド結合、複合体形成状態におけるラフト親和性を定量する。凝集や活性化が引き起こすラフト親和性の変化は、ラフトが機能調節にどのような役割を果たすかについて重要な情報を与えるものと期待される。
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Research Products
(27 results)