2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03671
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神吉 智丈 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50398088)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
マイトファジーはオートファジーによる選択的なミトコンドリア分解機構である。本研究では、出芽酵母や哺乳類細胞を用いてマイトファジーの分子機構や生理的意義を解明する事を目的としている。2018年度の研究では、抗がん剤の一種であるGemcitabineがHeLa細胞でマイトファジーを誘導することを見いだした。マイトファジーの分子機構は、未だに不明な点も多いが、Parkin-Pink1に依存した経路と、ミトコンドリア外膜のマイトファジーレセプタータンパク質に依存した経路に大別されることが知られている。面白いことに、Gemcitabineで誘導されるマイトファジーにはParkinは不必要であるが、PINK1は必要であると言うことが明らかになった。また、ミトコンドリア外膜に局在するユビキチンリガーゼMUL1がGemcitabineで誘導されるマイトファジーには必要であることも見いだした。MUL1はPINK1をミトコンドリア外膜上で安定化させるのに必要であると考えられた。 OptineurinはPINK1-Parkin依存的マイトファジーにおいて、Parkinによってユビキチン化されたミトコンドリアと隔離膜を結びつけるアダプターの役割をもつマイトファジー因子である。一方で、Optineurinの変異は緑内障の原因となることが知られている。緑内障の病態にマイトファジーが関わるかを知るために、緑内障の原因と報告されているOptineurin変異体をOptineurin破壊細胞に発現させマイトファジーを観察したが、マイトファジーは正常に誘導された。これらのことから、Optineurin変異に伴う緑内障発症にマイトファジーはほとんど関与しないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、主に哺乳類培養細胞を用いた研究を推進した。研究実績の概要に示すように、マイトファジーの分子機構や疾患との関わりについて新たな知見が得られており、研究は大きく進展した。一方で当初予定していた研究の一部の推進が遅れている。このため、全体として概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究実績の概要で示したGemcitabineで誘導されるマイトファジーのさらに詳細な解析を進めると共に、学術論文として報告する。また、Optineurin変異と緑内障との関係についても、学術論文として報告する予定である。さらに、出芽酵母を用いた研究も推進する。具体的には、マイトファジーに対して抑制的に働くことを見いだしているPP2A-like protein phosphatase Ppg1とFar複合体について詳細な解析を行い、マイトファジーを抑制する分子機構について詳細に解析する。
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Research Products
(4 results)