2017 Fiscal Year Annual Research Report
Intercellular recognition between sperm and eggs: Studies on the allogeneic and xenogeneic molecular recognition
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17H03672
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
澤田 均 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (60158946)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 受精 / 自己非自己認識 / ホヤ / 精子 / 卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)カタユウレイボヤのアロ認識機構について: (i) s-Themis-A, -B, -B2の精子における局在性解析:免疫染色の結果からは精子頭部先端とミトコンドリア近傍と尾部に存在することが示唆された。(ii) s-Themisとv-Themisのタンパク質間相互作用の解析:s/v-Themis-Aとs/v-Themis-Bに関しては少なくとも1つのアレルに関しては大腸菌発現に成功している。今後は、さらに複数のアレルを発現させ、それらをS2昆虫細胞で発現させて、タンパク質間相互作用を解析する予定である。(iii) s/v-Themis-A, -B, -B2の遺伝子破壊実験による機能解析:TALEN法を活用してs/v-Themis-A, -B, -B2遺伝子を破壊し、アロ認識が解除されるか否かを解析中である。しかし、遺伝子組換えカタユウレイボヤが飼育中に感染症にかかって継代飼育できない等の問題点が生じている。また、奇妙なことに、s/v-Themis-A, B, B2のアレルが当初想定している以上に遺伝子重複している可能性があることが判明し、新たな問題が生じている。今後の検討課題である。(iv) アロ認識におよぼす海水中のカルシウムについて:カタユウレイボヤでは精子が自己卵の卵黄膜に結合するとカルシウムが流入し、卵黄膜から離脱して自家受精を防いでいる。今回、海水中のカルシウム濃度を低下させる実験を行ったところ、自家受精が可能になることが新たにわかった。またこの現象はマボヤでは見られないことから、両ホヤでアロ認識機構が異なることが明確となった。 (2)マボヤの受精におけるアロ認識機構:まだ予備実験段階ではあるが、マボヤ卵黄膜の酸抽出物中には、自家受精を可能にする因子が存在する可能性が示された。今後さらにその分子実体の解明を目指して検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)s/v-Themisの発現実験に関しては、遺伝子に多型が多いことから、当初計画よりやや遅れていた。しかし、研究協力者を増やすことによって、その遅れを取り戻した。s/v-Themis遺伝子は、個体によっては遺伝子重複している可能性があることが新たにわかってきた。全体として、タンパク質間相互作用までは解析されていない点を考えるとやや進行に遅れがあるが、新しい展開もあるので、おおむね順調と判断している。 2)当初の予定では、カルシウム流入の下流の精子細胞内シグナル伝達機構に興味をもっていたが、カタユウレイボヤでは、海水中のカルシウム濃度を下げると自家受精できるようになることを見いだした。またこの現象はマボヤでは見られないことから、マボヤとカタユウレイボヤではアロ認識機構が異なることが改めて示された。これは当初計画以上に進んだ点である。 3)マボヤの卵黄膜抽出物中に自家受精を促進する因子がある可能性が示されたので、次の冬のマボヤ生殖時期に解析すべき課題が新たに見つかった。この点は当初全く予想していなかった新展開であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)s/v-Themisの精子における発現をLC-MSで解析する実験においては、精子表面タンパク質をビオチン標識し、ストレプトアヴィジンカラムで精製してから解析することで問題点を解決する予定である。また、抗体カラムを用いてs-Themisを精製してからLC-MS分析することも予定している。 2)s/v-Themisの発現と相互作用解析に関しては、現在s/v-Themis-A, Bにおいて、1つのアレルに関しては大腸菌発現に成功しているので、今後アレル数を増やして同様に発現させ、それをS2昆虫細胞で発現させてタンパク質間相互作用を解析する。昆虫細胞の発現に関しては、名古屋大学の農学部の松田教授の指導を仰ぐ。 2)当初の予定では、カルシウム流入の下流の精子細胞内シグナル伝達機構に興味をもっていたが、カタユウレイボヤでは、海水中のカルシウム濃度を下げると自家受精できるようになることを確認した。またこの現象はマボヤでは見られないことから、マボヤとカタユウレイボヤではアロ認識機構が異なることが改めて示された。今後は、その詳細なメカニズムについて検討する。特にカタユウレイボヤでは、s-ThemisのカチオンチャンネルのP-loopに対する抗体も作製して、カルシウム流入を阻害するかどうかを検討する。またマボヤでは、s-Themisのクローニングを行い、C末端にカチオンチャンネルが存在するか否かを検討する。 3)マボヤの卵黄膜抽出物中に自家受精を促進する因子がある可能性が示されたので、次の冬のマボヤ生殖時期にその再現性と詳細な作用機構を探る。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Haemorrhagic snake venom metalloproteases and human ADAMs cleave LRP5/6, which disrupts cell-cell adhesions in vitro and induces haemorrhage in vivo.2017
Author(s)
Seo T, Sakon T, Nakazawa S, Nishioka A, Watanabe K, Matsumoto K, Akasaka M, Shioi N, Sawada H, Araki S
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Journal Title
FEBS Journal
Volume: 284
Pages: 1657-1671
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Vascular endothelial cell-cell adhesion disruption and hemorrhage are induced by truncated LRP5/6 which is processed by hemorrhagic snake venom metalloproteases and human ADAMs2017
Author(s)
Seo, T., Kakon, T., Nakazawa, S., Nishioka, A., Watanabe, K., Matsumoto, K., Akasaka, M., Shioi, N., Sawada, H., and Araki, S.
Organizer
Gordon Research Conferences