2019 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of novel maternal factors controlling germ cell formation
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17H03686
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 輝 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (90323245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / ショウジョウバエ / 母性因子 / 生殖顆粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物において、生殖細胞は胚発生の早い時期に確立される。ショウジョウバエにおいて、生殖細胞の形成・分化は、生殖質と呼ばれる、母性RNAやタンパク質が集積した細胞質領域により制御されている。生殖細胞の形成・分化を制御する新規母性因子を同定する事を目的として、短鎖ヘアピンRNA系統を用いたRNAiスクリーニングを行った。2267系統についてスクリーニングを進めた結果、ノックダウンにより生殖細胞の振る舞いに以上を示す系統を37(30遺伝子)同定した。 これら遺伝子の中から、転写コアクチベーターであるPGC-1αのホモログをコードするspargelに注目して研究を進めている。spargelノックアウト系統を作成した結果、spargelを欠く卵母細胞では、生殖質の形成不全が観察された。脊椎動物においてPGC-1αはミトコンドリア関連遺伝子の発現を制御していることが知られている。また、生殖質形成とミトコンドリア動態とは密接な関連があることから、spargelがミトコンドリアの動態制御を介して生殖質の形成に関わっている可能性が考えられる。他方、ミトコンドリア制御とは無関係に、Spargelが生殖質因子の発現制御を行っている可能性も考えられる。今後、このような可能性について検討を進めていく予定である。 上記スクリーニングとは別に、生殖質形成に関わる可能性があると思われる候補遺伝子についてノックアウト系統を作製し、表現型解析を進めてきた。このようなアプローチから、ノックアウトにより生殖細胞の形成が著しく阻害される新規因子として、tiny pole plasm (tpp)を同定した。tppノックアウト系統の表現型を詳細に検討した結果、生殖質タンパク質の1つであるAubergineの局在が特異的に減少していることを見出した。現在、分子メカニズムの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生殖質機能に関わる新規因子を複数同定しており、それらの分子機能解析に取りかかることができている。今後COVID-19の影響による研究推進の停滞がいかほどになるかは不明であるが、可能な限り研究を継続し成果発表に繋げていきたいと考えてる。
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Strategy for Future Research Activity |
Spargelに関しては、RNA-seq解析により転写レベルで影響を受ける遺伝子を網羅的に洗い出す予定である。卵巣は発生段階が異なる様々な細胞の集団であることから、野生型とspargel突然変異体とを比較するために適当な成長段階の卵巣標本を得る方法について検討を進めているところである。また、spargel突然変異体におけるミトコンドリア動態についても細胞生物学的解析を進めていく予定である。 Tppに関しては、Tppを含めた生殖質関連因子について蛍光タンパク質をノックインした系統を作製している。tpp変異体やvasa, tudor, aubergine変異体等におけるこれらタンパク質の分布パターンについて検討を進める。また、免疫沈降法やAPEXによるproximity labeling法などを用いてTppと相互作用する因子を洗い出す予定である。既にtpp遺伝子座にHA, FLAG,あるいはAPEX2をノックインした系統の作製は完了している。
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