2017 Fiscal Year Annual Research Report
脂質の多様な機能を司るオルガネラ間相互作用と脂質輸送メカニズムの解明
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17H03692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 元 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60167202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三芳 秀人 京都大学, 農学研究科, 教授 (20190829)
小林 康一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (40587945)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 合成脂質プローブ分子 / 脂質輸送メカニズム / 脂質輸送タンパク質 / シロイヌナズナ / ゼニゴケ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、合成脂質プローブ分子を用いた斬新でユニークな生化学・分子生物学的な解析によって脂質輸送体の同定および機能解析を行い、脂質の輸送メカニズムを解明することを目指している。平成29年度は、オルガネラ間の接触部位に存在するタンパク質および脂質輸送タンパク質を同定するために、バイオインフォマティックスの手法による解析を行った。酵母や動物において同定されている、小胞体とミトコンドリアの接触部位において脂質の輸送に関わっていると推定されているタンパク質の遺伝子のホモログをゼニゴケとシロイヌナズナのゲノムで検索し、多くの候補遺伝子を見つけることができた。また、それらの遺伝子にコードされたタンパク質を大腸菌において水溶性のタンパク質として発現させることに成功し、それらの発現タンパク質について脂質との結合能があるかどうかをチェックしている。平成30年度も同様の解析を続け、ホスファジルグリセロール(PG)やホスファジルコリン(PC)と特異的に結合するタンパク質を同定する。一方、合成脂質プローブ分子を用いた解析も行った。まず、解析に必要な脂質プローブ分子の合成を行った。タンパク質と光架橋させるためのタグやクリック反応をおこさせるためのタグを導入した、PCとPGの脂質プローブ分子を合成した。また、それらのタグ付き脂質プローブ分子を用いてPCとPGに特異的に結合するタンパク質を、ゼニゴケとシロイヌナズナから同定することを試み、実験条件を検討した。平成30年度も引き続き、PCとPGに特異的に結合するタンパク質の同定を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオインフォマティックスの手法によって脂質の輸送に関わっていると推定されているタンパク質の遺伝子をゼニゴケとシロイヌナズナから見つけ出し、それらの遺伝子にコードされたタンパク質を大腸菌において水溶性のタンパク質として発現させることに成功した。また、タンパク質と光架橋させるためのタグやクリック反応をおこさせるためのタグを導入した脂質プローブ分子を合成することにも成功した。これらは本研究を推進する上で鍵となるステップであり、それらをクリヤーできたことで研究がおおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオインフォマティックスの手法によって同定したタンパク質について、大腸菌において水溶性のタンパク質として発現させたものを用いて、特定の脂質と特異的に結合するタンパク質、特にPGやPCと特異的に結合するタンパク質の同定を進める。一方、合成脂質プローブ分子を用いた解析も進める。 PCとPGに特異的に結合するタンパク質を同定することができたら、GFPとの融合タンパク質をシロイヌナズナで発現させて細胞内局在性を明らかにする。また、それらのタンパク質の中から、脂質の輸送活性をもつものをin vitroのアッセイ系を使って選別するとともに、 脂質との結合や輸送活性に必要なドメインを同定し、輸送メカニズムを明らかにする。さらに、 オルガネラ間の脂質輸送と脂質の部位特異的な機能を解明する。
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Research Products
(2 results)