2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of regulatory mechanisms of phototropism through protein phosphorylations
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17H03694
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒井 達也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10360554)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光屈性 / タンパク質リン酸化 / 光シグナルリング / フォトトロピン |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が青色光によって成長方向を変化させる光屈性の分子メカニズムはこれまで多くの研究がなされおり、そこに関与するシグナル伝達因子も多数発見されている。しかしながら未だ、光屈性誘導に働くフォトトロピン青色光受容体がどのような生化学的反応によりシグナル伝達を行い光屈性を誘導するのか、その全体像は明らかになっていない。本研究はこれまで研究代表者らが同定してきた光屈性シグナル伝達因子のタンパク質のリン酸化修飾の有無、リン酸化修飾のフォトトロピン及び青色光照射依存性、さらにリン酸化修飾を可能とする分子機構を明らかにすることを目的に研究を行った。 光屈性シグナル伝達因子 NPH3 のリン酸化修飾の意義を明らかにするため、7つのリン酸化セリン残基をアラニンもしくはグルタミン酸に置換した変異体を作成した。アラニン置換した変異体はnph3 変異体の表現型をほぼ完全に相補した。この結果は、NPH3 のリン酸化修飾は光屈性におけるNPH3の機能には不必要であることを示唆した。一方、グルタミン酸置換した変異体は、弱光誘導の光屈性を相補したが、強光誘導の光屈性は相補しなかった。これらの結果はNPH3のリン酸化修飾が光屈性シグナルのON/OFFに関与するのではなく、光感受性調節に働く分子機構であることが示唆された。 その他の分子として、光屈性シグナリング下流で働くRPT2及び NPH4/ARF7がリン酸化修飾を起こしている可能性を明らかにした。しかしこれらの修飾は、青色光やphot1に依存せずにおきている修飾であることが分かり、光屈性反応のトリッガーとして働くわけではないことが示唆された。Aux/IAA17 及び TIR1 においてもリン酸化修飾の可能性を検討したが、少なくともphostag を用いたウエスタンブロット解析ではその修飾は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPH3 リン酸化修飾の意義、及び phot1自己リン酸化におけるRPT2の役割については解析が当初の予定よりも進んでいる。一方、二次元電気泳動装置を用いた詳細なリン酸化解析については、未だ実験系が確立できておらず、条件検討が必要である。現在はphostag 電気泳動法によって、研究の遅れを回避できており、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
別研究課題の進展によって、光屈性に関与するタンパク質脱リン酸化酵素を同定している。この脱リン酸化酵素の標的タンパク質が何か、本研究課題内で明らかにしたい。また二次元電気泳動の実験系も確立し、研究計画に従った解析を進める予定である。NPH3、RPT2のリン酸化にまつわる研究結果については投稿論文作成を目指す。
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