2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of systemic regulatory mechanism of nodulation through two long-distance signals
Project/Area Number |
17H03702
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
川口 正代司 基礎生物学研究所, 共生システム研究部門, 教授 (30260508)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遠距離シグナル伝達 / 根粒形成 / HAR1レセプター / 葉 / 側根形成 / CLEペプチド / 硝酸応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 根から葉へのシステミックな遠距離シグナル伝達と葉で応答する遺伝子群 ミヤコグサ (“Miyakojima” MG-20)の根に根粒菌を感染させるとCLEペプチド(CLE-RS1, CLE-RS2)が速やかに誘導され「葉」に伝達される。これまでに感染依存的に「葉」でサイトカイニン合成遺伝子IPT3がシステミック(全身的)に誘導されること、その誘導はCLEペプチドの受容体であるHAR1依存的であることを明らかにしてきた。その応答は根粒菌の感染のみならず根への硝酸処理1日後の「成熟葉」で顕著に見られることを見出した。そこで、感染及び硝酸処理後1日目の「成熟葉」を材料とし、RNA-seqによりHAR1依存的に発現変動するリードをミヤコグサゲノム上にマップした。DEGのUpSetPlotにより、感染、硝酸処理、HAR1依存性、HAR1非依存性を示す約200の遺伝子を特定することに成功した。発現変動遺伝子の中には、HAR1依存性が顕著なmiRNA前駆体遺伝子が含まれていた。GO解析から根粒の遠隔制御とは異なるHAR1の新たな機能も見えてきた。 2) HAR1を介した側根形成の遠隔制御 側根の成長は低濃度の硝酸で促進されるのに対し高濃度では抑制される。ミヤコグサの根粒過剰着生変異体であるhar1は、主根が短く、側根数が多い傾向を示す。HAR1レセプターによるシステミックな根粒形成制御が側根形成にどのように制御するかを理解するために、窒素栄養によるミヤコグサの側根形成制御を調べた。まず野生型で硝酸応答性を調べたところ、低濃度硝酸処理により側根形成は誘導され、高濃度では抑制されることが観察された。一方har1は高濃度硝酸による側根抑制効果が低下していた。接ぎ木実験を行ったところ、側根の形成はシステミックのみならず、ローカルにも制御されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
根からの情報を「葉」で受けHAR1依存性を示す約200のミヤコグサ遺伝子を特定できたことは大きな収穫である。遠距離移行CLEペプチドを介した根粒形成のオートレギュレーションの分子メカニズムのみならず、新たな共生バランスの維持機構が見えてきたように思う。次年度はゲノム編集技術によりHAR1依存性の高い遺伝子の分子機能を明らかにするとともに、根粒数制御とは異なる新たなHAR1レセプターの機能に迫りたい。
根粒数を根で制御するミヤコグサPLENTY遺伝子はヒドロキシプロリンO-アラビノシルトランスフェラーゼをコードする。CLEペプチド遺伝子の構成的発現実験から、CLE-RS3がPLENTYの主要な候補基質であることが示され、CLE-RS1、CLE-RSペプチドの翻訳後修飾は、PLENTYのみならずそれ以外の因子も関わっていることが推測された。研究成果をまとめ、J. Exp Botに発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ゲノム編集技術によりHAR1依存性が明確な遺伝子の機能を明らかにするとともに、根粒数制御とは異なるHAR1レセプターの新たな機能に光を当てる。
窒素栄養環境に応じた側根形成制御におけるHAR1の役割を接ぎ木実験により明らかにする。
葉からのシグナル物質を受けて根で根粒数を制御するTMLの分子機能を解析する。
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Research Products
(2 results)