2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms underlying the establishment and maintenance of higher-order chromatin structure
Project/Area Number |
17H03713
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
中山 潤一 基礎生物学研究所, クロマチン制御研究部門, 教授 (60373338)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / ヘテロクロマチン / 分裂酵母 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の染色体機能に必須なヘテロクロマチン形成の分子メカニズム解明を目指して、平成30年度は以下の2つの項目の研究を実施した。
1.ヒストンメチル化酵素複合体の機能解析:先行して実施した研究によって、CLRC複合体がin vitroでヒストンH3をユビキチン化する活性を持つこと、また分裂酵母のヘテロクロマチン領域にユビキチン化H3が局在していることを明らかにした。本年度は、実際にCLRCがin vivoでヒストンH3を基質にしているのか明らかにするため、セントロメアの近傍領域にlacOリピートが挿入され、lacI-GFPの局在が確認されている株を利用し、抗GFP抗体を用いたクロマチン免疫沈降実験によってユビキチン化H3の検出を試みた。PCRによって実際にセントロメアのリピート領域が沈降されていることを確認できたが、共沈された画分の質量分析では、ユビキチン化H3を検出することはできなかった。今後はヘテロクロマチン領域のH3を濃縮するなど、別の手法の組み合わせる必要があることが分かった。
2.ヒストン脱アセチル化複合体の機能解析:分裂酵母のHP1タンパク質の一つであるChp2と、Clr3を含むSHREC複合体の機能的な関係を明らかにするため、Chp2のH3K9me3結合能の重要性を検討した。H3K9me3に結合できない変異Chp2(W199A)を発現させた株では、chp2の欠損株と同程度のサイレンシング異常が観察された。また、生化学的な解析から、Chp2のH3K9me3結合能は、SHREC複合体の維持に重要なことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究で、分裂酵母のヘテロクロマチン領域におけるユビキチン化されたH3の局在が確認できなかったが、lacO-LacI-GFPの系がセントロメア近傍領域の免疫沈降に使えることが明らかになり、平成31年度はこの系を改良してin vivoの修飾状態の検証に役立てられると期待されるため。また変異Chp2を用いた機能解析によって、Chp2のH3K9me結合能がSHRECの機能に重要であることを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な目標としては、ヘテロクロマチン領域においてCLRCがH3のユビキチン化を行っていることを直接証明することである。この目標のために、免疫沈降したクロマチンを分画する方法を検討する。また、以前作製を試みたユビキチン化H3に対する抗体の有用性の検討を継続して進める予定である。
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Research Products
(6 results)