2019 Fiscal Year Annual Research Report
「形質アプローチ」でせまる森林の植物―土壌フィードバック
Project/Area Number |
17H03736
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
黒川 紘子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70515733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 遊 東北大学, 農学研究科, 助教 (30594808)
飯田 佳子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40773479)
兵藤 不二夫 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (70435535)
直江 将司 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80732247)
瀧本 岳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90453852)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 機能形質 / 群集形成機構 / 地上部―地下部相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、樹木群集形成や多種共存機構の包括的理解のため、形質アプローチにより樹木群集における植物-土壌フィードバックの役割を検証する。2019年度は、動態、機能形質データベースの充実・再整理のため、動態データベースの再整理の継続を行った。2019年5月に小川試験地の1.3haコアプロットの胸高直径5cm以上の個体の毎木調査を行うとともに、6ha全域の胸高直径1cm以上の個体の毎木調査を終了した。現在データを動態データベースに追加し、整理を進めているところである。 また、7月に未採取の種の実生の探索・採取を継続し、実生形質の測定を行った。その結果、高さ30cm以下の1年生以上の実生を各種1-11個体、昨年の計測と合わせて計45種採取することができた。さらに、当年実生のサンプルも20種程度採取することができた。採取した実生サンプルで、葉や根の形質測定を行った。現在、葉の化学成分の分析を継続中であるが、実生、稚樹、成木の葉の機能形質の多くが揃い、群集レベルで成長段階間の比較を行ったところ、葉の強度や乾物含量などの物理形質は実生から稚樹、稚樹から成木へ成長するに連れて増加すること、化学形質のうち縮合タンニンは実生から稚樹、稚樹から成木へ成長するに連れて増加するが、総フェノールは実生と稚樹では濃度が変化しないことなどが明らかとなった。 さらに、乾燥、冷凍保管している土壌サンプルの化学成分分析、土壌微生物分析を継続し、土壌特性の決定要因解析を行った。土壌の無機栄養塩濃度や無機化速度には、地上部の葉の化学成分が影響することが明らかとなった。 来年度以降も動態、機能形質、土壌、環境データベースの拡充を継続し、土壌特性の決定要因解析などを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、計画していた動態データベース、機能形質データベースの充実・再整理を予定通り行うことができた。また、様々な分析を順調に遂行し、予定していた土壌特性データベースの構築を進めることができた。新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた成果発表に関する情報交換が行えなかった部分もあるが、計画は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
i)動態、機能形質データベースの充実・再整理:6 ha全域の個体の毎木調査を継続し、動態データベースの充実および再整理を継続して行う。また、採取済みの実生の化学分析を完了し、形質データベースを完成させる。 ii)土壌特性データベースの充実:乾燥、冷凍保管している土壌サンプルの化学成分分析、土壌微生物分析を継続する。 iii)土壌特性の決定要因解析:上記で取得したデータを利用し、土壌の化学・生物特性の決定要因を明らかにする解析を行う。
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