2017 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアに由来するエピジェネティック経路の解明と育種利用
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17H03749
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木下 哲 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (60342630)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / エピジェネティクス / 胚乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
育種においては、母本に用いる細胞質の由来に応じて、開花時期や耐病性などの様々な育種形質に影響が現れることが知られている。この現象には、核とオルガネラゲノムの相互作用、エピジェネティックなコミュニケーションが想定されているが、その実体は殆ど明らかではない。我々は、DNA脱メチル化制御に関与する細胞質の鉄・硫黄クラスター生合成経路をすでに明らかにしている。興味深いことに、この経路はミトコンドリア内膜のトランスポーターの機能に依存している。本研究計画では、イネをモデルにミトコンドリアに由来するエピジェネティック経路の詳細と育種形質への影響を明らかにし、将来の育種基盤技術創出に資することを目的としている。細胞質Fe-Sクラスター生合成経路は、ミトコンドリア内膜のABCトランスポーターATM3に依存しているため、イネをモデルにミトコンドリアから核へのエピジェネティックなコミュニケーションを解明するため、Crispr/Casシステムを利用してイネdre2変異体を作成した。イネのatm3変異体の作成は遅れているものの、これらの変異体の胚乳の表現型を解析し、インプリント遺伝子の発現やトランスポゾンに対する影響を解析する。平成29年度は、計画に従って、細胞質置換系統の整備と細胞質鉄・硫黄クラスター生合成経路の変異体を作成をすすめた。OsDRE2に関してはCrispr/Cas9の系によりイネのノックアウトラインを作成した。OsATR3に関しては、Crispr/Cas9のベクター作成を完了し、形質転換体の作成を進めている。研究計画は概ね順調に準備段階を進めており、平成30年度のデータ取得、解析のための準備は完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度におけるデータ取得、解析の準備を概ね終えた。進捗に特段の問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、OsATM3変異体の作成を進めるとともに、細胞質置換系統、OsDRE2ノックアウト変異体の胚乳の表現型解析を進める。胚乳の表現型解析では、着粒率、粒型、粒重や変異の伝達性など基本的な農業形質や遺伝学的データーを取得するとともに、表現型が現れた場合は、時系列を追ってサンプリングし、テクノビット樹脂切片により胚乳形態の詳細を解析する。平行して、エピジェネティックな変動が期待されるためトランスポゾンからの転写に特化したカスタムマイクロアレイによるトランスポゾンの発現解析を行う。得られたデータは必要に応じて、当研究室で構築しつつある胚と胚乳のトランスクリプトーム、エピゲノムデータと照合し、ミトコンドリアと核のエピジェネティック制御の実態を解明する。
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