2018 Fiscal Year Annual Research Report
イネ初期胚の母性RNA分解機構の理解と種子への物質集積制御
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17H03751
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
佐藤 豊 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (40345872)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イネ / 初期胚 / 母性RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題代表者はこれまでイネの初期胚形成機構の解析を行ってきた。最近この過程で、「初期胚ではRNAが極めて不安定化する現象」を発見した。動物の初期胚では母性RNAの分解とそれに続く胚性遺伝子の活性化機構に関する解析が進んでいるが、植物では現象そのものの記述もほとんどなく未開拓の分野である。本申請研究では、植物において初めてとなる母性RNAの分解機構を明らかにし、その植物初期発生における意義を明らかにする。さらに、種子中の胚に蓄積する有用成分等の含量制御へ、母性RNAの分解制御と胚性遺伝子の活性化機構の利用を検討することにより、植物遺伝育種科学分野への貢献を目指す。平成30年度は、マイクロピペットを用いた野生型初期胚(受精前の卵細胞、0HAP, 12HAP, 18HAP, 24HAP)の胚サンプルから全RNAの抽出を試みた。技術的に、0HAP, 12HAPまでは、ある程度の数の胚をマイクロピペットで回収できる目処が立った。また、RNA抽出とcDNAライブラリー作成が同時に進行できるキットの利用により、ライブラリー化についても目処が立った。一方、18HAP以降については、今のところ胚の回収がうまくいっていない。植物胚は受精後しばらくしてから細胞壁などの合成が活発になる。このため、胚と母体が新たに合成された細胞壁により癒合し、離れなくなることがうまくいかない原因と考えている。植物育成チャンバー等の整備により、周年胚のサンプリングが可能になったので、引き続き物理的に癒合を切り離すなどサンプリング条件の検討を続ける。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、今年度中に受精直後の初期胚(0HAP, 12HAP, 18HAP, 24HAP)からRNA抽出条件をかくていするよていであったが、思ったより胚と母体との癒着が硬く、 18HAP, 24HAPにおいて、マイクロピペットで胚を吸い出すことができないでいる。物理的に引き剥がすなどの工夫を行い、早期に胚の回収条件を確定する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
18HAP, 24HAPにおいて、物理的に引き剥がすなどの工夫によりマイクロピペットで胚を吸い出し、RNAを回収する。具体的には、RNA抽出とcDNAライブラリー作成が同時に進行するキットにより、ライブラリー化を行い、次世代シーケンス解読により、イネ初期胚におけるRNAの消長を記述する。
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Remarks |
佐藤豊:野生の稲に学ぶ~稲・コメ・ごはんの今昔~、東京農業大学総合研究所 稲・コメ・ごはん部会 第7回セミナー、東京農業大学、 2019年(招待講演)
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Research Products
(6 results)