2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on three-dimensional arrangement of organelles in C4 photosynthetic cells and its arrangement formation mechanism
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17H03757
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40231419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 崇生 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (60752219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オルガネラ / 光合成 / 電子顕微鏡 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 細胞 / 葉緑体 / ミトコンドリア / C4植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
C4植物の2種の光合成細胞である葉肉細胞と維管束鞘細胞内のオルガネラ配置は異なっており,代謝経路と密接に関わっている。本研究では,このオルガネラ配置の分子機構と生理的意義を解明することを目的としている。本年度は以下の解析を行った。 イネ科植物であるイネ(C3植物),ローズグラス(PCK型C4植物),シコクビエ(NAD-ME型C4植物)葉身の連続切片を透過型電子顕微鏡で観察・撮影し,画像処理ソフトウェアを用いて維管束鞘細胞内の葉緑体の三次元再構築を行った。イネ維管束鞘細胞には葉肉細胞よりも多い葉緑体が存在し,大部分は葉肉細胞側に配置(遠心的配置)していた。ローズグラスでは,より大型の平板状葉緑体が葉肉細胞側細胞面を覆い尽くすように遠心的配置をとっていた。一方,シコクビエにおいては,数は少ないがさらに大型でシート状の葉緑体が,葉緑体の一端を維管束側細胞面に接するように密集配置しており,積極的なオルガネラ配置機構の存在が予想された。このようにオルガネラ配置の三次元解析により,ダイナミックな細胞内微細構造が明らかになりつつある。 共焦点レーザー顕微鏡を用いて焦点面をずらしながら高解像度撮影した連続画像をもとに,葉肉細胞および内部の葉緑体を三次元再構築して,凝集運動に伴う葉緑体の配置や形態の変化を調べる解析法を確立した。現在,凝集運動に伴う葉緑体の細胞内配置や形態の変化を定量的に解析することができるように更なる改良を加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
維管束鞘細胞オルガネラの三次元配置の解析は当初計画どおり進行中であるが,数百枚の連続画像に対するオルガネラ外周のトレース作業には多くの時間がかかるため,まだ3細胞しか完了していない。三次元再構築法を改良し,効率的に作業を進めることが求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
NADP-ME型C4植物であるトウモロコシの維管束鞘細胞を観察し,3種のC4サブタイプ間で葉緑体の細胞内立体配置の比較を行う。また,ミトコンドリアの細胞内立体配置も調べ,葉緑体とミトコンドリアの接触面積や両者の配置の差異を明らかにする。また,葉肉細胞の観察など,観察すべき対象は多くあるので,三次元再構築法の改良を行い解析時間および労力の軽減を図る予定である。また,オルガネラ細胞内配置制御の分子機構解明に向けて,形質転換植物の作出ならびに輸送体タンパク質の局在性解析を早急に進める。
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Research Products
(9 results)