2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of important traits in Brassicaceae floricultural plant
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17H03765
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中塚 貴司 静岡大学, 農学部, 准教授 (60435576)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストック / アントシアニン / 八重咲き / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
ストックの花器官からC-クラスMADS-box遺伝子であるMiAGの単離に成功した。一重咲きおよび八重咲き個体において発現解析を行ったところ、八重咲き個体において、MiAGの発現量が減少する品種と全く発現しない品種が存在した。ゲノムPCR解析の結果、ピグミーホワイト、彼岸王の八重咲き個体からmiag2変異アリルが単離され、7番目イントロンから8番目エキソンにかけて89塩基の欠失が観察された。一方、それ以外の品種の八重咲き個体からmiag1変異アリルが単離され、2番目イントロンに135塩基の欠失が存在した。2つの変異アリルを識別するDNAマーカーを開発し様々な品種で調査したところ、八重咲きと変異アリルの存在が完全に一致した。このことから、MiAG遺伝子の変異が八重咲き形質の原因であると特定した。 ストック八重咲き形質と連鎖する形質の遺伝子情報を明らかにするために、花器官のRNA-seq解析を行った。得られたストック花器官cDNAコンティグから、花色に関与する候補遺伝子を探索した。アントシアニン生合成経路および調節遺伝子のオルソログを明らかにした。遺伝子配列を確認するために、各遺伝子のORFをクローニングした。 八重咲き形質と連鎖する花粉致死性の原因を特定するために、花粉発芽および花粉稔性について調査した。一重咲き系統とエバースポーティング系統を比較すると、花粉稔性には有意な差は見られなかった。しかし、花粉発芽は、エバースポーティング系統で一重咲き系統と比較して低く、花粉致死性の影響によるものと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎となる八重咲き形質の原因遺伝子を明らかにし、論文として報告した。また、次世代シークエンスを用いて、ストック品種ビンテージラベンダーの花器官で発現している遺伝子のコンティグ情報を獲得した。このように、ストックの分子基盤の整備が着実に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
八重咲き形質と連鎖する形質として花色に注目して研究を進める。アントシアニン生合成候補遺伝子について、実際にストックの花色に関与しているかをReal Time PCR法で検討する。その後、オールダブル白花品種の花および種子における遺伝子発現解析を行い、八重咲きに連鎖した白花化の原因遺伝子の同定を行う。 同定した八重咲き変異遺伝子を足がかりに、周辺ゲノム配列の整備を行う。一重咲きおよび八重咲き個体から調整したゲノムDNAを用いて次世代シークエンスを行い、両ジェノタイプ間で異なるゲノム情報を取得する。 花粉致死性については、花粉発芽に注目し、形態的差異を走査型電子顕微鏡を用いて観察する。
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