2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03792
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 浩文 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (60211687)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分裂酵母 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等動物の寿命を理解するための前提となる細胞レベルでの寿命の理解を分裂酵母をモデルとして解明することを目標とした。これまでに唯一知られている普遍的な寿命延長シグナルは「カロリー制限」のみであったが,申請者は「硫黄の枯渇」も新規な寿命延長シグナルであることを示唆する結果を得たので、硫黄枯渇応答について詳細な解析を行う事とした。 硫黄は生命にとって必須な元素のひとつであり、生体内では、主にアミノ酸であるメチオニンやシステイン等に見いだされる。申請者は硫黄枯渇により分裂酵母の細胞が小型化すること、経時寿命が延長すること等を見出すと共に、それらは経時寿命延長因子Ecl1ファミリー遺伝子(ecls)に依存することを示した。次に細胞の小型化に着目し、硫黄枯渇時に細胞内で起こる現象の解明に焦点を当てて研究を行なった。 まず、硫黄枯渇時の細胞の小型化に必要な因子を探索するために、分裂酵母の単一遺伝子欠損株セットを用いて硫黄枯渇条件下で分裂酵母を培養し、小型化が起こらない欠損株の探索を行った。その結果、199種の遺伝子が小型化に必要であることを発見した。次にそれらの因子とEcl1ファミリー遺伝子の関係について、取得した199種の遺伝子のうち74種を調査した結果、21種をecl1+の下流候補因子として取得した。この21種の遺伝子の中に、分裂酵母の形態の制御に深い関係を持つとされている細胞周期関連因子を見出した。以上の結果より、硫黄枯渇時にEcl1ファミリー遺伝子が細胞周期に関係するという新たな知見が蓄積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい寿命延長シグナルとして見出した硫黄枯渇シグナルについて、分裂酵母が示す硫黄枯渇応答に関する知見が蓄積した。特に、硫黄枯渇下で細胞が小型化し,これに分裂酵母の経時寿命延長因子であるEcl1ファミリーが関与することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従い遂行する。特に,前年度までに得られた新たな知見については、作業仮説に取り込みながら,モデルの深化を目指して研究を推進する。
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