2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17H03792
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 浩文 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (60211687)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分裂酵母 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂酵母の経時寿命研究は、細胞レベルで寿命を理解するよいモデル系となり、高等動物の寿命を理解する前提となる。新規な寿命制御因子の探索と機能解明を通して新しい寿命制御機構を理解する目的で、経時寿命が延長する分裂酵母の変異株をスクリーニングし、No.36変異株を取得した。この変異株が長寿命となる原因遺伝子の特定を行った結果、β-1,3-グルカン転移酵素をコードするgas1+に生じた変異が長寿命の原因であることが明らかになった。さらにNo.36変異株が細胞壁溶解酵素であるZymolyaseに対して感受性を示したことから、細胞壁ストレスと経時寿命の関係性について解析を行ったところ、細胞壁合成阻害剤であるmicafunginを低濃度で添加することで、分裂酵母の経時寿命が顕著に延長した。これらの結果から、No.36変異株の寿命延長は、細胞壁ストレスによる寿命延長と同様のメカニズムで引き起こされることが示唆された。またこのNo.36変異による寿命延長は、カロリー制限と同様の機構で引き起こされる可能性が示唆された。そこで我々は、カロリー制限による寿命延長に関連する因子であるSty1 MAPK(Mitogen-Activated Protein Kinase)に着目し、No.36変異による寿命延長がSty1に依存するか解析を行ったところ、No.36変異による寿命延長はSty1を欠損することで大きく抑制された。さらにWestern blot解析により、Sty1の活性化に関わるリン酸状態を調べたところ、定常期においてNo.36変異株では野生株と比較してSty1のリン酸化レベルが高く、活性化していることが明らかになった。以上の結果から、No.36変異株による寿命延長はSty1の活性化を介して引き起こされることが示唆された。以上の解析を通して、分裂酵母の経時寿命延長機構に関する知見が蓄積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母から新規な長寿命変異株のスクリーニングを行い、複数の原因因子候補を同定した。その中からgas1+に生じた変異が長寿命の原因であることを明らかにできた。さらにgas1変異による経時寿命延長の理由について、(1)細胞壁ストレスが惹起されることで寿命延長が引き起こされること、(2)ストレス応答型MAPキナーゼであるSty1の活性化を介して経時寿命の延長が起こること、を明らかにした。以上の解析を通して、分裂酵母の経時寿命延長機構に関する知見を蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従い遂行する。前年度に得られた成果に立脚し、同定した因子群が寿命制御において具体的にどのように働くのかを解明することに注力する。さらに、同定した因子群あるいはその機能メカニズムをターゲットとして、寿命を制御可能な化合物の探索を行い、寿命創薬展開の基盤を確立することを目指す。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Leucine depletion extends the lifespans of leucine-auxotrophic fission yeast by inducing Ecl1 family genes via the transcription factor Fil1.2019
Author(s)
Ohtsuka, H., Kato, T., Sato, T., Shimasaki, T., Kojima, T., and Aiba, H.
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Journal Title
Mol. Genet. Genomics
Volume: 294
Pages: 1499-1509
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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