2017 Fiscal Year Annual Research Report
TORC1新規in vitroアッセイ系を用いたアミノ酸感知と活性制御機構の解析
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17H03802
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 達哉 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (90280627)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / TOR / TORC1 / グルタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
1) Pib2依存的TORC1活性化機構におけるVps34の機能の解析 グルタミン応答性TORC1活性化におけるVps34の役割を検証するために哺乳類Vps34特異的阻害剤を活用することを試みた。市販の阻害剤が酵母Vps34を阻害しないため、触媒ドメインのみをヒトVps34と置き換えたキメラVps34を複数作製したが、いずれも酵母細胞内で活性を持たなかった。しかしながら、TORC1活性化機構の素過程であるPib2とTORC1の結合は、Vps34ならびにその産物であるPI(3)Pを含まない条件でもグルタミン応答性を示すことを新たに示すことができた。このことは、グルタミン依存的TORC1活性化におけるVps34の役割が、液胞膜上で構成的にPI(3)Pを産生することにより、Pib2の液胞膜局在を規定することにあることを示している。
2) Pib2依存的TORC1活性化機構の新規構成因子の同定 液胞タンパク質やTORC1関連タンパク質の遺伝子ノックアウト株を網羅的にin vitro TORC1活性アッセイ系に供することにより、グルタミン応答性TORC1活性化に必須な因子をスクリーニングしたところ、いずれの遺伝子のノックアウト株においてもTORC1活性化能が維持されていた。さらに、パラログの存在する遺伝子については二重ノックアウト株を作製したが、これもTORC1活性可能が維持されていた。このことは、グルタミン応答性TORC1活性化に必要な因子は、生育に必須でない遺伝子のコードするタンパク質には存在しないことを示している。これとは別に、in vitro TORC1活性アッセイ系に含まれる因子を高度に精製することにより、グルタミン応答性を示すために必要な最少の因子を同定することに成功した。これらの因子を介したグルタミン検知機構の解明が急務である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で提案していた2つの課題について、いずれも当初に予定していた方法に加え、新しい方法を導入することによって目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に同定した、グルタミン応答性を示すための最少の因子の性格付けを進め、グルタミンセンサーを同定するとともに、センサーを介したTORC1活性化機構の実体を明らかにする。 1) グルタミンセンサー候補分子の検討 in vitroアッセイ系を用いた実験から、想定されるグルタミンセンサーは以下の3つの性格を備えていると考えられる。(a) L-グルタミンに特異性を有する。(b) グルタミンに対するKd値は10mM程度である。(c) 液胞膜上に存在する。そのため、候補分子を組換えタンパク質として調製し、in vitroでのグルタミンとの結合が(a)と(b)の性格を備えているか否かを物理化学的手法を用いて検討する。また、細胞内局在が(c)の性格を備えているかについても、GFPや細胞分画法などを用いて確認する。 2) グルタミンセンサーを介したTORC1活性化のin vitro完全再構成 グルタミンセンサー、TORC1、Pib2をを高度に精製する。これらを用いて、これまで未分画の試料を用いて観察されていた、グルタミン依存的にPib2とTORC1の相互作用とTORC1キナーゼ活性の亢進を、精製標品のみを含んだ系で再現することを目指す。
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Research Products
(9 results)