2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the biosynthetic pathways of tetrodotoxin and saxitoxin based on the intermediates
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17H03809
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 まり 東北大学, 農学研究科, 教授 (50192430)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テトロドトキシン / サキシトキシン / 生合成 / LC/MS / 構造決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. フグに存在する新規テトロドトキシン(TTX)関連化合物とその類似化合物群の単離、構造決定、生合成経路の推定 有毒フグ抽出物を詳細にLC-MS/MS解析を行なうことにより、新規のTTX関連化合物が数種みつかった。これらのフグ中の含有量はTTXに比べて少ないが、LC/MSでの分析方法や分離方法を確立し、数種について単離し構造決定した。特に、ハチノジフグTetraodon biocellatusに一連の新規スピログアニジノ化合物を見出した。その化合物は酸化状態は様々であり、段階的に酸化されて、TTX類縁体になる生合成経路が考えられ、TTX生合成経路の考察を深めた。さらに、類似化合物が微量だがみつかったので、HR-MS/MSや各種NMRにて構造を推定し、相対立体化学は化学合成を行って決定した。この化合物はTTX生合成の現在見つかっている推定中間体の中で最も上流に位置すると考えられた。 2. 麻痺性貝毒サキシトキシン(STX)の生合成研究 STXの中期の生合成経路の解明: Neilanらが有毒藍藻の生合成遺伝子から予想された経路ではうまく環化反応は説明できない。そこで新たな環化前駆体を予測し、それに関わる予測生合成中間体の11-hydroxy Int-C’2と予想中間体Int-E’を化学合成した。また、二環性の予測中間体の合成方法をさらに検討した。次に、これらが有毒微生物に存在するのかどうかをHR-LC/MS分析した。その結果、11-hydroxy Int-C’2とInt-E’は麻痺性貝毒STX類縁体を生産する藍藻に存在することが証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TTXの生合成研究においては、TTXの生合成経路を予測する上で重要な新規スピログアニジノ化合物群を、海洋生物の膨大なスクリーニングの末に見出した。そして非常に微量であったが、単離し、構造決定をすることができた。その化合物群の構造は、これまで見つかっていたTTX類縁体とは違い、さらに上流の生合成経路を予測することができるものであったため、うまく研究が進捗したと考えられる。 STXの生合成研究においても、STXの三環を形成するに関わる前駆体と考えられる12-hydroxy-IntC’2を化学合成できた。また、三環を形成したあとと予測されるInt-E’も化学合成できた。それらを有毒藍藻からLC-MSで同定できたので、研究が進捗したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
TTX生合成研究においては、今回見つかった新規スピログアニジノ化合物が海洋生物に広く分布するのかどうかを調べてTTX生合成に深く関わるのかどうかを考察する。さらに、構造未決定の新規スピログアニジノ化合物があるので、これを単離、構造決定する。また、スピログアニジノ化合物以外のTTX関連化合物も海洋生物から見つかっているので、これについて精製を進めて、構造決定を試みる。そして、それらの化学構造からさらにTTX生合成について考察を進める。 STX生合成においては、STX類縁体生合成で、硫酸化やケトンを形成する反応の順番についてヒントを与える化合物群を探索、単離、構造決定し、考察する。
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Research Products
(26 results)