2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation mechanisms of the momilactone gene cluster and its evolution in momilactone producing plantss
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17H03811
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 憲典 東京大学, 生物生産工学研究センター, 准教授 (20312241)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 転写因子 / ファイトアレキシン / アレロパシー / 遺伝子クラスター / 野生イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はモミラクトン生合成遺伝子クラスターの発現制御に関わる既知転写因子の2種(bZIP型転写因子のOsTGAP1とbHLH型転写因子のDPF)について機能追求を行なった。まず、OsTGAP1については、変異体の解析から、本転写因子が根で主に発現・機能していることを明らかにした。その際、OsTGAP1欠損によって根におけるモミラクトンの生産が低下し、水田雑草イヌビエに対するアレロパシー活性の低下も起こることを示した。また、OsTGAP1過剰発現体では、モミラクトン生産量の増加とアレロパシー活性の増強が認められた。さらに、すでに取得済みだったOsTGAP1の相互作用因子(OsTGAP1 Interacting Factor: OsTIF)についてin vitroとin vivoでの相互作用を確認し、この相互作用によって転社活性化能がどのような影響を受けるかをレポータージーンアッセイにより調べた。その結果、ENT-domain containing protein(OsTIF1)とSerine/threonine kinase(OsTIF3)については、ジテルペン生産の上流経路に位置するメチルエリスリトールリン酸経路の初発酵素遺伝子OsDXS3のプロモーターを用いた場合に、転写活性化能の増強が見られた。一方、モミラクトン生合成酵素遺伝子OsKSL4のプロモーターを用いた場合には、OsTIF1による転写活性化能の増強が認められたが、OsTIF3によっては抑制されることがわかった。DPFについては、野生イネのRNA-Seq解析からファイトアレキシンの生産と遺伝子クラスターの有無に関わらず、ホモログ遺伝子の存在が明らかとなり、プロトプラストを用いた系により、これらのDPFホモログに栽培イネにおけるファイトアレキシン生産誘導活性が認められることをつきとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画した3つの項目のうち、属種を超えた関連転写因子の機能解析は順調に進み、成果の論文報告も行った。その他の計画では、遺伝子クラスター内のシス配列の解析について、OsKSL4プロモーター上のOsTGAP1結合配列をCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集により欠損した個体を得たが、解析が間に合わなず、次年度に持ち越した。また、イネ以外のモミラクトン生産植物については、ハイゴケのゲノムシーケンスが進み、クラスターの存在が示唆されて来たため、当初予定のHpDTC1の制御因子同定と機能解析の実施が遅れた。しかし、モミラクトン生産植物であるイヌビエの遺伝子クラスター報告や、DPFの発現制御にも関わる転写因子のChIP-seq解析など、予定していなかった部分での成果も得られており、全体としては概ね良好な進捗状況であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究推進方策については、初年度の成果を受け各研究項目別に以下のように進める予定である。 ①属種を超えた関連転写因子群の機能解析について:野生イネのDPFホモログのファイトアレキシン生産における機能がプロトプラストの系において示されてきているので、同様にレポーターアッセイを構築、転写活性化能とプロモーターに存在するシス領域の同定を、栽培イネおよび野生イネの両方で進める。また、RNA-seqデータをまとめると共に、そこから見出されクラスター領域の転写誘導に関わる因子の同定を進める。 ②クラスター領域内に存在するシス配列の解析:既に作出済みの栽培イネOsKSL4遺伝子プロモーターのシス配列欠損株について、まずはファイトアレキシン生産への影響と、クラスター内の近傍遺伝子の転写誘導に対する影響について解析する。また、野生イネのゲノム配列との比較から見出された栽培イネでの保存領域についても、あらたにゲノム編集個体を作出し、その重要性の解析を進める。 ③イネ以外のモミラクトン生産植物の解析:ハイゴケのゲノムシーケンスが進んだことから、本項目はハイゴケに集中して研究を進めることにし、まず、クラスターの証明に必要な酵素遺伝子の機能証明を行うと共に、クラスター内遺伝子の発現に影響をあたえる転写制御因子の探索を進める。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Barnyardgrass (Echinochloa crus-galli) genome analysis provides insight into its adaptation and invasiveness as a weed.2017
Author(s)
Guo L, Qiu J, Ye C, Jin G, Mao L, Zhang H, Yang X, Peng Q, Wang Y, Jia L, Lin Z, Li G, Fu F, Liu C, Chen L, Aoki D, Yumoto E, Yokota T, Miyamoto M, Okada K, Kim DC, Cai D, Zhang C, Lou Y, Qian Q, Yamaguchi H, Yamane H, Kong CH,Timko MP, Bai L, Fan L et al.,
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8(1)
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] An evolutionary point of view of the biosynthetic gene clusters formation for phytoalexins in rice and related species.2017
Author(s)
Shiho Tomiyama, Ryouka Kawahara-Miki, Kaihei Koshio, Koji Miyamoto, Hisakazu Yamane, Jie Qiu, Longjiang Fan, Tomonobu Toyomasu, Nori Kurata, Hideaki Nojiri, Kazunori Okada
Organizer
ISRFG 2017
Int'l Joint Research
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