2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of disorder of pancreatic beta cells induced by excess selenoprotein P
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17H03821
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 芳郎 東北大学, 薬学研究科, 教授 (70357060)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セレノプロテイン / 膵β細胞 / インスリン分泌 / 糖尿病 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
セレノプロテインP(SeP)は、必須微量元素”セレン”を含む血漿タンパク質であり、細胞にセレンを運ぶトランスポーターと して働く。我々は、糖尿病患者で血中SePレベルが増加し、増加したSeP(以下、過剰SeP)が筋肉や肝臓のインスリン抵抗性を 高め、糖代謝を悪化することを報告した。さらに最近、過剰SePが膵β細胞を障害し、インスリン分泌を低下することを発見し た。本研究では、糖尿病態を反映した過剰SePによる膵β細胞のインスリン分泌低下メカニズムをin vitroおよびin vivoで明ら かにする。さらに、過剰SePによる膵β細胞の障害を抑制する食品由来成分を同定する。また、膵β細胞の障害を示す分泌性バ イオマーカーを同定する。以上の研究により、SePによる膵β細胞の機能障害メカニズムの全容を解明し、膵β細胞の障害を予 防し、最適な状態に保つ栄養条件を確立する。 本研究計画では、SePの膵β細胞障害について、以下の研究を行った。 課題1 過剰SePによる膵β細胞の小胞体ストレス誘導メカニズムの解明では、過剰SePにより増加する小胞体のセレン含有蛋白質を複数見いだした。今後、siRNAを用いて、細胞死や小胞体ストレスの惹起に関与するか、明らかにする。また、小胞体死トレス応答に関わる分子の変化を明らかにし、過剰SePが還元剤DTTやセレン源となるセレノシスチンと類似の小胞体ストレスを誘導することを見いだした。過剰SePによるストレス応答経路の解析から、統合的ストレス応答が関与することが明らかとなってきた。さらに、膵β細胞のSeP受容体およびセレン運搬に関与する受容体としてApoER2とLRP1を同定し、膵β細胞障害に至る新たな経路を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SePの膵β細胞障害については、過剰SePにより増加する小胞体のセレン含有蛋白質を複数見いだし、今後、siRNAを用いて、小胞体ストレスの惹起に関与するか明らかにする予定である。また、膵β細胞のSeP受容体およびセレン運搬に関与する受容体としてApoER2とLRP1を同定し、膵β細胞障害に至る新たな経路を明らかにできた。さらに、小胞体死トレス応答に関わる分子の変化を明らかにし、還元剤DTTやセレノシスチンとの類似性を見いだし、統合的ストレス応答が関与することを明らかにすることができた。以上より、概ね順調に進展していると考えている。今年度、in vivoでの検討も取り入れつつ、新しく見つかってきたストレス反応経路を明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定したセレン含有蛋白質とインスリンの反応を確認し、インスリンのジスルフィド結合の還元反応について解析する。また、細胞内での還元型インスリンの蓄積を、Western blot法により解析する。過剰SePによる障害は、膵島の初代培養 系でも検討する。過剰SePによる膵β細胞の障害メカニズムについて、in vivo実験での検証を進める。先述の 課題で得られつつある過剰SePによる膵臓β細胞の障害および小胞体ストレスの関与をin vivoでの検討に進めたい。精製 SeP投与系および糖尿病モデルマウス、SeP中和抗体を用い、先述の課題で認められた分子メカニズムが動物レベルでも引き起こされるか検証する。さらに、東北大学・メディカルメガバンク機構で収集された臨床サンプルについても検討を進める予定で、SePと膵臓機能・インスリン分泌との関連性を明らかにしていく。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Circulating concentrations of insulin resistance-associated hepatokines, selenoprotein P and leukocyte cell-derived chemotaxin 2, during an oral glucose tolerance test in humans.2019
Author(s)
Kensuke Mohri, Hirofumi Misu, Hiroaki Takayama, Kiyo-aki Ishii, Akihiro Kikuchi, Fei Lan, Yasufumi Enyama, Yumie Takeshita, Yoshiro Saito, Shuichi Kaneko, and Toshinari Takamura
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Journal Title
Biological and Pharmaceutical Bulletin
Volume: 42
Pages: 373-378
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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