2017 Fiscal Year Annual Research Report
木部内二酸化炭素の固定による個体成長への貢献:物質生産の再評価
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17H03828
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
楢本 正明 静岡大学, 農学部, 准教授 (10507635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水永 博己 静岡大学, 農学部, 教授 (20291552)
飯尾 淳弘 静岡大学, 農学部, 研究員 (90422740)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幹呼吸 / 樹液流 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
新潟県苗場山の標高900mに生育するブナを対象に、異なる高さで幹からのCO2放出を測定した。日中は夜間と比較して、同じ温度でCO2放出速度が低く、また幹表面に直達光が当たるとき、CO2放出速度は低下した。幹からのCO2放出に関連する構成要素について、モデル解析を行った結果、日CO2放出量に対して、樹液流による輸送、および樹皮下光合成による吸収は、それぞれ4.3%、2.2%と推定された。 静岡県浜松市の静岡大学農学部天竜フィールド、および静岡県静岡市の静岡大学農学部圃場に生育するブナ科13種(常緑9種、落葉4種)を対象に、陽樹冠からシュートを採取し、切り枝法で葉と当年枝のガス交換特性を測定した。測定後各器官におけるクロロフィル量を分析した。生育期(8~10月)に全13種の測定を行い、冬期(12月、落葉期)に常緑3種と落葉3種の測定を行った。ガス交換の測定温度は、生育期を27℃、冬期・落葉期を15℃とした。常緑3種において、葉の光合成速度および暗呼吸速度は冬季にかけて低下した。特に光合成の低下は大きい。一方、当年枝では常緑3種において光合成速度、暗呼吸速度が冬季にかけて低下したのに対して、落葉3種においては光合成速度・暗呼吸速度ともに増加した。このとき、常緑3種では、葉・当年枝ともに冬季にかけてクロロフィル量が低下したのに対して、落葉3種の当年枝ではクロロフィル量が増加した。このとき、当年枝ではクロロフィルa/b比の増加も確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、多点でガス交換を測定するシステムを用いて、ブナを対象に幹からのCO2フラックス測定を行った。また、ブナ科13種(常緑9種、落葉4種)を対象に、陽樹冠からシュートを採取し、切り枝法で葉と当年枝のガス交換特性を生育期と冬季(落葉期)に測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、非同化器官におけるガス交換測定を実施するほか、樹幹周囲を異なる二酸化炭素濃度に制御した苗木での成長比較試験の準備を進める。ポットに植栽した苗木を養生し、幹周囲の二酸化炭素濃度を制御するシステムの構築を行う。
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Research Products
(1 results)