2018 Fiscal Year Annual Research Report
アウトブレイク前における森林昆虫とその随伴微生物のリスク評価:先見的対策のために
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17H03831
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 菜摘 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70435585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 樹木病害 / 森林昆虫 / 森林微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
キクイムシ類やカミキリムシ類、キバチ類、シロアリ類などの樹木穿孔性昆虫を、各調査地で見つけ捕り、倒木あるいは人為的に伐採・放置した餌木を回収して羽化させた。成虫の形態を観察し、種同定した。生息場所を切開して内部状態を調べ、その習性(穿孔・存在様式、成育特性、繁殖様式など)も確認した。 昆虫の体表を観察し、あるいは体内を解剖し、mycangia(菌類貯蔵器官)の部位と構造を明らかにした。各微生物の保持状態も詳細に観察した。イチジク樹を加害するアイノキクイムシについては、マイクロフォーカスX線CT装置でスキャンし、非破壊的にmycangiaを立体視することに成功した。 見出した器官、昆虫の体表・体内や樹体から、菌類を分離し、純化した後、光学顕微鏡で詳細に観察した。また、DNAを抽出し、ITS領域などの塩基配列データを得た。これらの形態的および分子的情報に基づいて、種同定した。また、分離源から線虫を釣り上げ、同様の手法を用いて培養・種同定した。 分離した菌類、線虫を人為的に供試木へ接種し、衰弱過程を追跡するとともに、病原性を判定した。また、接種木における菌類、線虫の定着・繁殖状況を、材組織の観察や再分離実験によって確認した。 捕獲、検出あるいは分離された各種の生物群を様々な条件(温度、栄養条件など)で成育させ、増殖力を確認した。 異なる調査地で見出された各生物群については、形態的および遺伝的な違いを調べ、系統地理学的解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新種の発見、分布範囲の確認、特殊な生態の発見に加え、接種試験結果、相互作用系、系統地理学的解析の成果も、研究分担者と研究協力者も含めて、学会で発表し、論文を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も、調査・実験を継続する。そして、すべての結果をまとめて、統合的に考察し、今後マークすべき昆虫とその随伴微生物の提示する。学会発表と論文作成も順次行う。
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Research Products
(26 results)