2018 Fiscal Year Annual Research Report
ポリイオンコンプレックスによるリグニンからの機能性物質の創製
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17H03842
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 泰幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (60335015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 和彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80222256)
青木 弾 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (80595702)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リグニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、木質バイオマスのリファイナリーにおいて、未利用副産物として得られるリグニンを機能性物質に変換することを目的としている。 研究代表者はこれまでリグニンの構造や有効利用方法の研究に携わってきており、イオン交換樹脂や接着剤などの機能性物質を作り出しきた。この研究は、その一連の研究であり、イオンコンプレックス法という新たな方法を用いてリグニンを機能性物質に変換することを目的とした。 イオンコンプレックスを作成するには、リグニンをカチオン化およびアニオン化をする必要がある。昨年度までの検討で、硫酸リグニンをアルカリ水熱処理することで硫酸リグニンの反応活性を向上させることが分かり、さらにそのリグニンの構造を解析を行ったところ、芳香環の一部開裂、低分子化、メトキシ基の脱離、フェノール性水酸基の増加が起きることが分かった。またこのリグニンには生理活性があることが分かり、特許申請を行った。 グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(GTA)およびブロモ酢酸を用いて、上記リグニンのカチオン化及びアニオン化を行った。それぞれの産業的利用について解析を行ったところ、カチオン化リグニンは染料除去剤として非常に高い性能を示し、またアニオン性リグニンは石こう分散剤として市販のリグノスルホン酸に匹敵する性能を示した。これらは産業利用として十分可能と判断された。この成果は、国際学会2件(2018 Joint Convention SWST and JWRS、International Conference on Pulping, Papermaking and Biotechnology 2018)、国内学会1件(第69回日本木材学会大会)、学術論文2件(BioResoures、Journal of Wood Science)で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画であった、1)カチオン化リグニンの機能性物質への変換、2)アニオン化リグニンの機能性物質への変換、3)イオンコンプレックスの形成能調査については、順調に研究を遂行することができ、その成果を学会発表(国際学会2件、国内学会1件)および学術論文雑誌2件に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までに完成させたカチオン化およびアニオン化技術を応用し、イオンコンプレックスを作成する。内包する物質は尿素系の肥料およびリパーゼなどの酵素類とし、その利用可能性を解析する。 植物を必要があるため、作物育成に詳しい先生方にアドバイスをいただく予定でいる。
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