2018 Fiscal Year Annual Research Report
Soft Photonic Materials of Celluloses for Device Applications
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17H03848
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 准教授 (30391220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セルロース / コレステリック液晶 / ブラッグ反射 / エラストマー / ゴム弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請者はこれまでに「セルロース誘導体によるコレステリック液晶の発現」に関する研究を取り組んでおり、本年度は、400 nm~800 nmの全可視波長領域でブラッグ反射を示す架橋性セルロース誘導体の合成を目的とした。 昨年度、紫外線照射によってある種の架橋性セルロース誘導体の膜を作製すると、可視波長領域の反射色だけでなく、ゴム弾性も示すセルロース・コレステリック液晶エラストマー膜になることを発見した。今年度は、機械的な圧縮力を可視化できる新しい歪みセンサーへの応用を目指し、セルロース・コレステリックエラストマー膜を膜厚方向に圧縮しながら透過スペクトルを測定した。ある種のエラストマー膜は、歪み、すなわち膜の圧縮率が0.33となるまで圧縮をすると、その反射波長は赤色の波長領域である660 nmから青色の波長領域である450 nmまで連続的に短波長シフトした。これは、圧縮力によるCLC内の分子らせんピッチの収縮が起因している。しかも、この波長シフトは圧縮-解放過程において可逆的であった。さらには、前述のようにセルロース・コレステリック液晶エラストマー膜は温度によらず安定した反射波長を示すので、膜に伝わる力学強度を定量的に検知できる圧力センサーとしての応用が可能である。これだけでなく、このセルロースCLCエラストマー膜はゴムのように柔軟であることから、硬貨やクレジットカード上の微小な凹凸を有する基板に押し付けると突起との接触部のみ反射色が変化した。このようにセルロースCLCエラストマー膜は物体に押し付けると、物体表面における凹凸を検知し反射色の変化で可視化できるので、凹凸センサーとしての応用も可能であることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画以上の成果発見することができた。特に、技術的に優れていると判断し、2件のPCT国際特許を出願することができた。さらに、複数の民間企業との秘密保持契約を締結し、今後、実用化研究も実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究費を利用して、来年度にはイメージング分光測定装置を設置する予定である。圧縮力もしくは延伸力によって種々のセルロース・コレステリック液晶エラストマー膜に歪みを加え、イメージング分光測定装置で透過・反射スペクトルの分布を測定する。これによって、膜中の歪みの分布を可視化することが可能になると考えている。
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