2019 Fiscal Year Annual Research Report
Soft Photonic Materials of Celluloses for Device Applications
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17H03848
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古海 誓一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 准教授 (30391220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セルロース / コレステリック液晶 / ブラッグ反射 / エラストマー / ゴム弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、派生的な研究成果として、セルロース誘導体を安全で安定な植物由来の香料液体に溶解でき、反射色を示すリオトロピック・コレステリック液晶になることを見出した。 ヒロドキシプロピルセルロースの末端の水酸基をプロピオニル基で化学修飾したセルロース誘導体(HPC-Pr)は温度によって変色するが、発色させるためには90 ℃以上の加熱が必要であった。そこで、室温で反射色を示すために、リオトロピック・コレステリック液晶を調製した。 前述したサーモトロピック・コレステリック液晶を示すHPC-Prを70~78 wt%の濃度でイオノンに溶解し、リオトロピック・コレステリック液晶(HPC-Pr_イオノン)を調製すると、これらHPC-Pr_イオノンは室温でコレステリック液晶由来のブラッグ反射を示すことを見出した。その反射波長はHPC-Prの濃度に依存しており、たとえば、78 wt%のHPC-Pr_イオノンは室温で紫色の420 nmでブラッグ反射を示し、HPC-Prの量が減る、つまりイオノンの量が増えるにつれて反射波長も長波長シフトし、74 wt%では緑色の500 nm、72 wt%では赤色の600 nmであった。この現象は、コレステリック液晶の隣接層間に入り込む溶媒、すなわちイオノンの量が増えることで、らせんのねじれ力が減少したと推察している。しかも、これらの透過スペクトルにおいて反射ピーク以外の波長範囲の透過率に着目すると、HPC-Prを昇温したときとは異なり、90%以上の高い透過率を示した。さらに、反射ピークの半値幅も比較的狭いので、鮮やかな反射色を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は本研究提案に以外に派生的な発見があり、研究が順調に進めることができた。それらは技術的に優れていると判断して、2件の特許出願を行った。今後、学会発表だけでなく、学術論文の掲載を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度にハイパースペクトルカメラを購入し、透過・反射スペクトルの二次元分布を測定できるイメージング分光装置を組み上げた。2020年度はセルロース・コレステリック液晶エラストマー膜に圧縮や延伸のひずみを加えながら変色の分布を測定し、ひずみの可視化を実証する。
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Research Products
(33 results)