2017 Fiscal Year Annual Research Report
白化した有藻性イシサンゴの回復過程で生じる褐虫藻獲得に関する細胞応答機構の解明
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17H03852
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
久保田 賢 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (00314980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 明 高知大学, その他部局等(名誉教授), 名誉教授 (50172193)
関田 諭子 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 准教授 (70314979)
Ulanova Dana 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 助教 (70610129)
櫻井 哲也 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90415167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 修復・再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年は,世界の有藻性イシサンゴにとって過去最悪の白化に見舞われた年となった。サンゴの死滅は沿岸地形の崩壊や漁業資源の減少をもたらすことから,白化研究や保全活動が活発に推進されてきたが,有効な打開策は皆無である。申請者らは,その原因が環境修復策の検討に不可欠な白化からの生理的回復過程の理解が進んでいない点にあると考えている。 本研究では,白化が短期間で回復する温帯域の特徴を最大限に活かし,褐虫藻の取り込みに加え,その細胞内での共生維持や細菌の侵入防御に関する細胞応答機構について,バイオインフォマティクスをはじめとする生命科学的研究手法を駆使して解明することを目的としている。 平成29年度は,造礁サンゴの白化および回復過程で生じるサンゴ自体および共生微生物の挙動について調べるため,サンゴ試料収集フィールドと研究室に厳密な温度管理が可能な飼育水槽を設置し,白化およびそこからの回復の再現条件について検討した。 対象種としては,わが国のサンゴ礁生息域に広く分布するクシハダミドリイシを選定し,最低でも一片3cm以上のサイズの群体を採取時の生息温度より5℃以内で数日間順化した。飼育は25℃で行ない,白化区は28℃まで1~2週間程度かけて上昇させ,その後は28℃でキープした。多少褐虫藻の色が残る程度まで白化させることに成功した。また,その後25℃で数週間保持することにより,色が回復することが観察された。 白化およびそこからの回復過程における微生物相の変遷を知るための予備実験として,サンゴ群体の表面から細菌等の培養を試みたところ,複数の菌が分離された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の肝となる白化ならびにそこからの回復過程について,一部の種に限られるものの水槽内での再現が可能となりつつあることから。
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Strategy for Future Research Activity |
白化およびそこからの回復過程について,約2ケ月をかけることにより,再現可能性が高いことを示すことができたが,様々な実験区を設定して,微生物の種構成の変遷や遺伝子・タンパク質の発現解析を行なうには,もう少し短期間でコントロールできる必要がある。そこで,より厳密な飼育条件の設定を行なった上で,それぞれの解析を本格化する。
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