2017 Fiscal Year Annual Research Report
造礁サンゴ「種分類」の新機軸とその体系化-分子細胞遺伝学的アプローチ-
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17H03861
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田口 尚弘 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 短期研究員 (80127943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 裕伸 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50402756)
新里 宙也 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70524726)
久保田 賢 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (00314980)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分類・形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが世界で初めて開発した造礁サンゴの染色体解析のための分子細胞遺伝学的手法を体系化することが本研究の目的としている。研究期間内に,有用遺伝子プローブの開発を通じて染色体マップの作成を進めるとともに,造礁サンゴの種判別における染色体解析の有効性を検証する予定となっている。 平成29年度は,台湾における試料採集候補地である東沙諸島において,サンプリングを試みるとともに,継続的な試料収集の可能性について検討した。その結果,試料採集は可能であるものの安定的に得ることが困難であることが判明した。 染色体による種間差の候補として,HSR(Homogeneously Staining Region:均一に染まる部位)や性染色体を対象に解析を進めた。HSRについては,以前その存在を見出していたキクメイシに加え,平成29年度はミダレノウサンゴを中心に解析を進めた。また,性染色体については,これまでにエンタクミドリイシのみでその存在を認めていたが,ヒメエダミドリイシでも同様に存在する可能性が示唆された。 また,これまでに高知で採取したサンゴの染色体解析結果の概要について,サンゴ研究の専門家が出席する学会で発表するとともに,総説として取りまとめた。ミドリイシ属とそれ以外の種で染色体の特徴が大きく分かれそうであること,繰り返し配列を認識するプローブの開発により,近い種でも判別できる可能性があることを見出すことができ,今後の解析における対象種選定の基礎固めができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,各サンゴの毎年一度か二度の産卵日に試料採集することにより成立するが,当初台湾のフィールドとして予定していた東沙諸島は,天候や交通の問題から安定的な採取が困難なことが判明した。また,平成29年度は,月齢カレンダーから想定された産卵日の多くが天候に恵まれず十分な試料採取が叶わなかったことなどによる。
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Strategy for Future Research Activity |
台湾,沖縄および高知において,染色体解析に十分なサンゴ胚試料を確保するため,サンゴの飼育施設を保有し,比較的安定的に卵や精子を採取できる他機関との連携をより一層強める。
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