2018 Fiscal Year Annual Research Report
造礁サンゴ「種分類」の新機軸とその体系化-分子細胞遺伝学的アプローチ-
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17H03861
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田口 尚弘 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 短期研究員 (80127943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 裕伸 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50402756)
新里 宙也 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70524726)
久保田 賢 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (00314980)
目崎 拓真 公益財団法人黒潮生物研究所, 研究部局, 研究所長 (20840482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分類・形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが世界で初めて開発した造礁サンゴの染色体解析のための分子細胞遺伝学的手法を体系化することが本研究の目的としている。研究期間内に,有用遺伝子プローブの開発を通じて染色体マップの作成を進めるとともに,造礁サンゴの種判別における染色体解析の有効性を検証する予定となっている。 平成30年度には,従来の分類では別種として扱われてきたが近年では同種としてみなされるようになってきたエダミドリイシ(Acropora tumida)とヒメエダミドリイシ(A. pruinosa)の分類移行に着目し,両者の比較を行った。 両ミドリイシの受精後約12時間の胚(2n)を用いて、染色体標本を作製して調べたところ,エダミドリイシの染色体数は28本(2n)が観察されたが、一方、ヒメエダミドリイシは28本と29本が混在していることが分かった。さらに、ヒメエダミドリイシの29本の核型を持つ細胞について、精子のgenomicDNAを使った蛍光インサイチュハイブリダイゼーション法で、詳しく調べたところ,精子特有のDNAをもつ染色体が1本増加していることで、28本と29本の数の違いが生じていることが判明した。また、comparativegenomic hybridization(CGH)法による両種間でのtotal genomicDNAの比較、rRNA遺伝子(5S、18S、28S)座位の決定、および、その座位の比較も行ったところ,両者で異なる染色体座位であることが判明した。。 その結果,これらを総合すると、分子細胞遺伝学的な観点から、両ミドリイシには、明らかに相違が見られた。従って、別種と考える方が、より自然と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,月齢カレンダーから想定された産卵日の多くが天候に恵まれず十分な試料採取が叶わなかったことなどから,対象種を絞り込むことにより,種判別における染色体解析の有効性を示すデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
染色体解析の種判別における有用性を示すデータは蓄積されつつあるが,染色体標本作成に不可欠な受精卵試料の採取への天候や海況の影響が大きいことから,comparativegenomic hybridization(CGH)法で利用するプローブについて,群体から抽出したDNA試料の適用可能性について,集中的に検討する。
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Research Products
(1 results)