2018 Fiscal Year Annual Research Report
Biology of lifespan and size of vertebrate using fish as a model
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17H03869
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 滋晴 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40401179)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 魚類 / 成長 / 老化 / ゼブラフィッシュ / オートファジー / 幹細胞 / オンデンザメ / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュとラットを対象としたRNA-seqにより、組織別の老化プロファイルを比較した結果、ゼブラフィッシュでは老齢個体でオートファジー関連遺伝子の発現上昇がみられた。また、mTORシグナルを抑制した時に発現が上昇することがほ乳類で報告されているATF3が、ゼブラフィッシュ老齢個体では発言が上昇しており、mTORシグナルの抑制が起きていることが示唆された。そこで、成長ホルモン(GH)過剰発現ゼブラフィッシュのトランスジェニック系統を用いて、mTORの活性化による成長促進が同時に老化を促進する作用について検討した。ウエスタンブロッティングと免疫染色を用いて、GH過剰によってmTORシグナルが様々な組織の体細胞と幹細胞において亢進していることを見出した。 コイ科魚類について、寿命47年および41年のコイとキンギョを長命種、寿命5年のファッドヘッドミノーおよびゼブラフィッシュを短命種として、全オーソログ遺伝子について、正の自然選択を受けた遺伝子を抽出した。また、魚種特異的に重複あるいは欠損している遺伝子を探索した。その結果、長命種では、nfkbiaやmapk9といった成長や老化に深い関りのある遺伝子が正の自然選択を受けていた。一方、短命種ではDNA修復遺伝子の負の選択圧が弱まっており、さらに、ゼブラフィッシュではDNA修復を行うp53の分解に関わるrbbp6遺伝子の数が増加していた。こうした結果は、短命種ではDNAの品質コントロールを行う遺伝子群の機能が低下している可能性を示す。 また、超長命種と目されるオンデンザメについて、静岡県の博物館よりホルマリン浸漬試料の提供を受けた。現在、ゲノム解析に必要量のDNAの抽出作業を進めている。また、オンデンザメ同様に深海性の大型種であるカグラザメについても、DNA抽出用試料を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りRNA-seq解析とGHトランスジェニック系統の解析を継続し、mTORシグナルとオートファジー制御による老化制御が魚類ではほ乳類と異なる可能性を示唆するデータを得ることができた。また、比較ゲノム解析を開始し、コイ科の短命種と長命種で異なる選択圧を受けている遺伝子を検出することができた。 また、予定通り長命種の試料を入手し、ゲノム解析を始めるためのDNA試料を得た。ただし、ホルマリン浸漬試料からのDNA抽出に困難があり、カグラザメも代替試料として入手している。
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Strategy for Future Research Activity |
mTORやオートファジーに関連する特定の遺伝子群であるATF3、rubicon等について、ノックアウト等の機能的検討を加える。 また、終生的な筋成長と関連して、哺乳類のサルコペニアとの関連が示唆されているGDF11のゼブラフィッシュノックアウトを作成を継続する。筋肉については、筋幹細胞の一細胞RNAseqを開始し、魚類の終生的な筋成長との関連を検討する。 成長ホルモントランスジェニック魚については、DNA修復やp53経路についての検討を加える。 長命種のゲノム解析については、引き続きDNA抽出を行い、シーケンス用のライブラリーを作成する
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Research Products
(4 results)