2019 Fiscal Year Annual Research Report
加熱変性リゾチームを用いた水系感染症ウイルスの新規不活化法の開発
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17H03872
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 肇 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40413116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ノロウイルス / 加熱変性リゾチーム / 不活化 |
Outline of Annual Research Achievements |
先の研究において、加熱変性したリゾチームに抗ノロウイルス効果があることを発見した。本年度までの研究では、ヒトノロウイルス、A型肝炎ウイルスへの効果を確認し、食品中の中に存在するこれらウイルスの不活化が可能であることを明らかにした。また、加熱変性リゾチームによるノロウイルス不活化機構についても解析を行い、加熱変性時のpHとウイルスの不活化能との関係を明らかにし、また、任意のアミノ酸を置換することで効果が変化することも見出した。 本年度の研究では、加熱変性リゾチームを製剤として利用する場合の応用性について検討を行った。加熱変性リゾチームは塩により凝集を起こし、不活化効果が低下することが報告されており、水産物を取り扱う現場への応用の妨げとなっていた。そこで、加熱変性リゾチームが塩存在下においても凝集しにくい条件を確立し、その条件におけるノロウイルス不活化効果について検証した。 始めに、加熱変性リゾチームの凝集が抑制される条件について検証した。検証には過去の研究より、凝集を抑制する効果があるとされているα-シクロデキストリン(α-CD)を使用した。加熱変性リゾチームにα-CDを任意の濃度にて添加し、これを人工海水と等量混和し、凝集を確認した。その結果、α-CDを240 mM以上添加することで人工海水中での加熱変性リゾチームの凝集を完全に抑制できることが明らかとなった。次に、塩存在下におけるα-CD添加加熱変性リゾチームのノロウイルス不活化効果を検証した。加熱変性リゾチームにα-CDを任意の濃度添加したものを用意し、代替ノロウイルスを含む海水と等量で1分間曝露した後、プラークアッセイにより感染価を求めた。結果として、α-CD添加加熱変性リゾチームと曝露したした場合、代替ノロウイルスは検出限界以下まで減少することが明らかとなり、畜養や洗浄等の現場で幅広く応用できる可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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