2018 Fiscal Year Annual Research Report
土-水境界面における土質力学と水理学の接続による内部侵食現象の解明と予測
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17H03889
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤澤 和謙 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30510218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 侵食 / 限界掃流力 / レオロジー / 砂 / 粘塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,具体的なタスクとして次の3つを挙げている. (1)浸透流が砂粒子の限界掃流力,pick-up rateに及ぼす影響を明らかにする.(2)流動的に運動する砂質材料のレオロジーを明らかにする.(3)土の内部侵食シミュレータを開発する. (1)については,昨年度において,限界掃流力は(上向きの)動水勾配の増加に従って小さくなることを実験的に明らかにした.今年度は,この現象のメカニズムを定量的に把握するため,浸透力を直接的に測定する実験装置の作成を行った.元々の研究計画では,この実験は想定していなかったが,砂地盤表層の浸透力がキーとなる現象であり,追加実験のための準備を進めた. (2)については,当該年度においては,粉体の流動性測定装置に取り付けるエアレーションユニットを購入・設置した.エアレーションユニットにより,砂粒子の有効応力を消失させることができ,純粋な粘性挙動(せん断強度を持たない粘性抵抗)の測定を実施した.具体的には,材料には珪砂7号を使用し,拘束圧(垂直応力)を0.01kP~20kPaとかなり小さい拘束圧下においてせん断強度を測定するとともに,粘性係数の測定を行った.その結果,低拘束圧下の砂を粘塑性体として定量的にモデリングすることに成功した. (3)については,Space-Time有限要素法による固体の動的変形及び流体解析プログラムを完成させ,ベンチマーク問題を通してその精度検証を行った.現在のところ,固体解析については微小変形にのみ対応する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述した3つの研究課題(以下にも記載)について,それぞれの進展状況は順調である. (1)浸透流が砂粒子の限界掃流力,pick-up rateに及ぼす影響を明らかにする.(2)流動的に運動する砂質材料のレオロジーを明らかにする.(3)土の内部侵食シミュレータを開発する. (1)については,当初は予定していなかった実験を計画中であるが,すでに目標とした成果は得ており,予定した以上の研究成果が期待できる.その他の2つの課題については,砂質土のレオロジーは購入した設備備品によって首尾よく計測が可能であり,問題なく実験実施が可能であった.侵食シミュレータの開発は,実験結果を利用するモデルを組み込むことは次の課題として,その基本的な計算フレームは完成している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,砂のレオロジーモデルを侵食シミュレータに取り入れることが大きな目標となる.計算コードの開発には,大変形問題をオイラー型の支配方程式によって解く必要があり,その枠組みでの応力更新に関する手法開発が必要な状況である.材料挙動のモデリングには,精緻な実験結果を蓄積する必要があり,砂質材料のレオロジー特性を実験的に把握することを継続する.また,砂地盤表層の浸透力を把握する実験についても,新しい取り組みとしてさらなる研究成果を目指す.
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Research Products
(23 results)