2017 Fiscal Year Annual Research Report
Multiple Approach based on nano and micro structure observations to evaluation of the cell integrity and quality of fruit and vegetables
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17H03899
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 史彦 九州大学, 農学研究院, 教授 (30284912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内野 敏剛 九州大学, 農学研究院, 特任教授 (70134393)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農業工学 / 走査型プローブ顕微鏡 / シミュレーション工学 / X線CT / バイオスペックル / マルチスケール解析 / パル地フィジックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、青果物の微細構造解析とその中で起こる諸現象のシミュレーション解析、レーザー光を用いた非破壊的手法による青果物のセル・アクティビティを計測するなど、多面的アプローチにより細胞情報の取得と解析から細胞組織の健全性診断、ひいては青果物の品質評価につながる総合的研究を遂行するものである。 本年度は、以下の3中課題、すなわち(1)青果物細胞組織のナノ・マイクロ構造の観察と解析、(2)マルチフィジックス・シミュレーションによる細胞組織の諸物性値の推算、(3)バイオスペックル法による細胞アクティビティの計測と活性度マッピングについて研究を実施した。(1)では、青果物細胞組織について、μX線CT装置等によるマイクロレベルでの微細構造観察(リンゴ、カキ、ニンジン等)と原子間力顕微鏡によるペクチン構造観察(ニンジン)を行い、ナノ・マクロ構造の特徴を整理した。(2)については、(1)で得た画像データから解析に適切な三次元形状を再構築するプロシージャを作成した。これにより構築した微細構造モデルを用いて、微細スケールにおける熱移動解析を行うフローを構成した。(3)については、カキ果実にレーザー光を照射し、反射した光をCCDカメラで30fpsの条件で撮影し、連続平面画像を時間軸を含む三次元同時生起行列解析法により解析し、輝度時空間分布変化の特徴量を抽出した。この結果と果肉の硬さ、表面色、密度等の品質指標因子との相関を評価し、この関係から青果物の鮮度を非破壊的に定量化できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)については、走査型プローブ顕微鏡の導入が当初の計画より遅れたが、学内所有または海外の共同研究機関の装置を利用することにより、おおむね順調に進展した。(2)については、X線CT装置により取得した画像データから微細構造モデルの構築、シミュレーション実行の妨げとなる計算メッシュの健全性を保つ処理を可能としたことから、計算の発散を抑えた解析が可能になるなど、研究が順調に進展した。(3)については、同時生起行列解析プログラム開発が一般のソフトをベースに作成できたことから、バイオスペックル動画の時空間解析が初年度より予定以上にスムーズに進むなど順調であった。以上、総じておおむね順調に研究が進展したものと評する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度収集した基礎データやモデルにさらに情報を蓄積し、より実用性の高いものに深化させる。(1)と(2)では、両者間の連成を強化し、マルチスケール解析のフレームワークを構築する。すなわち、微細構造観察・解析で得た結果を青果物個体スケールに反映し、微細構造データを基に個体レベルでの品質評価が行えるプロシージャ―を構成、(4)の青果物の健全性の評価に繋ぎたい。(3)については、バイオスペックル特徴量の温度、鮮度依存性を評価する手法を確立し、(4)との関連性を探って行く方針である。 なお、現有の走査型プローブ顕微鏡の観察では、軟らかい材料の観察において一部不正確な画像が取得されることから、測定ポイントでのみ探針を接近させて形状情報や物性情報を取得するSISモード機能を新たに付加し、三次元構造をより正確に計測できるよう対策を立てる方針である。
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Research Products
(9 results)