2017 Fiscal Year Annual Research Report
栄養処理による食肉の高品質化:メタボローム及び遺伝子発現による代謝調節の解析
Project/Area Number |
17H03901
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤村 忍 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20282999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 基二 新潟大学, 自然科学系, フェロー (90126029)
太田 能之 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (00277667)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 飼料 / アミノ酸代謝 / 筋肉 / 食肉 / 呈味 / 高品質化 / メタボロミクス / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
良質タンパク質の供給源である食肉は、量的・効率的生産とともに、国際的に高品質化が求められている。高品質化の中で呈味向上に対する期待は大きい一方で、飼料栄養を用いた方法において有効な情報は極めて不足してきた。食肉における主要な呈味成分の一つは筋肉遊離グルタミン酸(Glu)であり、Glu量の調節は食肉の呈味改善に有効である。研究代表者は、短期の特定アミノ酸量の調節による筋肉遊離Glu量の増加と食味の向上の可能性を得た。この新たな栄養制御手法をさらなる高品質化に繋げるため、遺伝子発現、メタボローム等の解析により調節機構、また機能性を検討し、食肉の価値向上を追求した。 1)飼料Lys量を要求量の低から高レベルまで設定した飼料の10日間給与による筋肉遊離Glu量増加メカニズムの解析により、低レベルでは血漿及び筋肉遊離Lysは減少した一方、筋肉遊離Glu量は増加を示した。タンパク質合成及び分解系の主要酵素等の検討からユビキチンープロテアソーム系酵素の一部のmRNA遺伝子発現の調節等が関与する可能性を得た。2)低Lys飼料時の遊離Glu量増加効果に対して、代償性成長を応用して飼育成績の改善に関する研究を進め、特定条件モデルでは飼育成績の低下を生じずに効果を得られる可能性が示され、詳細の検討を進めている。3)新規調節性アミノ酸の検索から、特定アミノ酸の一定食餌レベルにおいて筋肉遊離Glu量を増加させる可能性を得た。熟成の有無に関わらずこの効果が得られた。4)飼料Hisの代謝に基づくCar及びAns量の調節と肉質の関係を検討した。結果から低His飼料によってもたらされた筋肉Car及びAns量の変化が筋肉の抗酸化性に影響する可能性を得た。さらに色調(a*)に影響する可能性を得た。これら筋肉の呈味成分及び機能性成分の調節とそのメカニズム、また肉質への影響に関する成果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように、タンパク質・アミノ酸代謝を基盤として設定した各アミノ酸を特定レベルに調節した飼料、また給与期間を調整したモデル等を検討することにより、筋肉において、食餌性リジン等の調節によって筋肉の呈味成分量が変動すること、それにはタンパク質分解系酵素等が関与することを遺伝子発現解析等で明らかにし、その詳細の検討に着手した。また低Lys飼料時の遊離Glu量増加効果に対して、給与期間と代償性成長を応用した飼育成績の改善に関する研究を進めた。さらに新たなアミノ酸モデルによる筋肉Glu量の調節の可能性を見出した。イミダゾールペプチド量の調節においては鶏肉品質に及ぼす影響を検討した。また鶏胚及び初期ヒナへのアミノ酸投与による筋肉への影響に関して条件検討を進めた。これらの新たに得た知見を基に、筋肉におけるアミノ酸代謝機構とそれに基づく効率的な制御法を解明していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究によって得た成果を基に、単一アミノ酸レベル、またアミノ酸バランスの調節、さらには給与期間等の条件を考慮した筋肉遊離Glu酸量の制御メカニズムの解明をメタボロミクス及び遺伝子発現解析を用いて進めるとともに、効率的な食肉の食味向上、さらに機能性成分の増加に向けた条件を検討する。これによりタンパク質・アミノ酸代謝を基盤とした食味の向上および健康機能成分の付加による高品質化を目指す。
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