2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the immune mechanism using oral nanocapsule with oligodeoxynucleotides from lactic acid bacteria
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17H03907
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下里 剛士 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00467200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 佑 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (50738010)
渡邉 敬文 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (50598216)
佐藤 隆 横浜市立大学, 医学部, 助教 (70510436)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オリゴDNA / 乳酸菌 / 免疫調節 / 経口投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、プロバイオティクス由来のゲノムDNAや、DNA断片の化学合成配列を用いた免疫活性試験により、免疫調節作用を有するオリゴDNAを用いた研究を進めてきた。オリゴDNAとは、化学合成されたDNA短鎖であり、含まれる塩基配列により多彩な免疫機能を発揮する機能性核酸素材である。しかしながら、経口的に摂取すると、胃液や消化酵素の影響により分解されてしまうことから、経口投与による実績は極めて少ない。研究代表者は、「食べるオリゴDNA」を掲げ、経口的な腸管送達システムの構築を目指し、胃液に分解されず腸まで届くDNAナノカプセルの開発に成功した。2017年度は、DNAナノカプセルの経口投与に伴う遺伝子の動きを網羅的に解析するとともに、DNAナノカプセルを混合した特別飼料を作製し、実験用マウスにおける投与試験を実施した。具体的には、気管支喘息モデルマウスにDNAナノカプセルを含む特別飼料を70日間自由摂取させ、アレルギー関連のバイオマーカーについて解析を行った。結果として特別飼料の自由摂取により、気管支喘息モデルマウスにおけるアレルギー反応を有意に抑制することが示された。すなわち、DNAナノカプセルを通常飼料に配合した特別飼料の自由摂取は、全身性免疫系だけではなく、気管支局所においても免疫調節機能を発揮することが示された。またDNAナノカプセルの経口投与試験を実施し、脾臓における発現変動遺伝子を同定し、2018年度に詳細な解析を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DNAナノカプセルを含有する特別飼料を用いた自由摂取試験を実施し、全身免疫系が制御されることを示すデータが得られた。胃内挿管による強制給餌以外で、免疫調節作用が得られたことを踏まえ、当初の計画以上に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
近年急速に開発が進められている「核酸医薬」は、認可件数が少なく開発途上と言われている。これまで注射器により投与されてきたオリゴDNAを、経口ルートなど新たな投与方法を開拓し、安定的に機能性を発揮できる可能性を示すことができれば、オリゴDNAの利用性が飛躍的に発展するだろう。とくに本研究で取り組む「食べるオリゴDNA」の実現に向け、経口的に摂取されたオリゴDNAが体内でどのような挙動を示すのか、またどのような作用機序で効果を発揮するのか明らかにする。
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Research Products
(1 results)