2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the molecular mechanism for the increase in the virulence of Marek's disease virus
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17H03911
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (90250498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 史郎 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (10579163)
今内 覚 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (40396304)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マレック病ウイルス / マレック病 |
Outline of Annual Research Achievements |
マレック病ウイルス(MDV)は、鶏に悪性リンパ腫を主徴とするマレック病(MD)を引き起こし、養鶏業に大きな被害をもたらしてきたが、現在では生ワクチンの開発・実用化により効果的に予防されている。しかし野外においては、MDVの病原性が増強する傾向にあり、ワクチン接種鶏でMDが発生するワクチンブレークが問題となっている。しかしMDVの野外における病原性進化の分子機構については未だ不明のままである。これまでの我々の研究で、国内のワクチンブレーク鶏から分離されたMDVでは、全ゲノム解析により、米国で報告されているmeq遺伝子(MDVの腫瘍化に重要な遺伝子)の多型も存在するが、従来報告されていない多型や他のウイルス遺伝子の異常も検出されている。そこで本研究では、近年日本国内の養鶏等から検出される MDVの分子生物学的性状を従来の分離株と比較して、これまで報告されていない新規の病原性進化機構を明らかにすることとした。まず国内で分離されたMDV2株の鶏に対する病原性を検討し、米国の強毒株686株と比較した。その結果、国内のMDV株は、686株に比較して緩やかな病態進行ではあったものの、全個体でマレック病に特徴的な病変が確認され、ウイルス接種鶏全個体が死亡した。このことは、MDVの病原性進化の分子機構は、異なった複数のものが存在して種々の異なった病型に関与することを示唆している。今後、全ゲノムのより詳細な比較解析を行い、その全容を明らかにする予定である。 また、アジア諸国に分布するMDVの疫学調査・性状を解析を行う目的でミャンマーでの分子疫学調査を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、国内分離株の鶏に対する病原性を感染実験により、確認することができ、従来の米国由来強毒株とは異なる病態を示すことが判明し、MDVの病原性進化には複数の異なる分子機構が関与する可能性を提示することができた。今後は、予定通り、全ゲノムのより詳細な解析やRNAseq解析により国内MDV株における病原性進化の分子機構のより詳細な解析が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
国内分離MDV株の全ゲノムのより詳細な解析やRNAseq解析を実施して、病原性進化に関わる遺伝子の多型や構造変化を同定する。そして、その変化を導入した(あるいは欠失させた)組換えMDV感染性クローンを作成して、感染実験等により、病原性進化の分子機構を明らかにしていく。 また前年度より継続してアジア諸国に分布するMDVの性状解析を行い、日本国内株との比較等を行う。特にミャンマーで検出されたMDV株の分子生物学的性状を解明していく。
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Research Products
(1 results)