2018 Fiscal Year Annual Research Report
Generation of African swine fever and highly pathogenic PRRS-resistant pig by genome editing of CD163
Project/Area Number |
17H03916
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 悦郎 九州大学, 医学研究院, 教授 (00160903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 正剛 静岡県畜産技術研究所, 中小家畜研究センター 養豚・養鶏, 上席研究員 (90605677)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 豚繁殖・呼吸障害症候群 / CD163 / マイクロミニピッグ / アフリカ豚コレラ |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカ豚コレラ(ASF)は、海外悪性伝染病の1つであり、感染豚には中和抗体が産生されないため有効なワクチンが存在しない。また、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は、多様な抗原性を示すウイルスによる感染症であり、有効なワクチンの開発は極めて困難である。本研究課題では、そのような感染症の新たな制圧方法として、遺伝子改変技術によるAFSおよびPRRS抵抗性ブタの開発を目的とする。 1. 平成29年度に引き続きマイクロミニピッグ(MMP)の胎仔線維芽細胞(PEF)のCD163遺伝子のゲノム編集を外来遺伝子の導入を避けるため、Cas9タンパク質とsgRNAをエレクトロポレーションによりPEFに導入することにより実施した。その結果、CD163の5番目のScavenger receptor cysteine-rich (SRCR5)ドメイン内の3ヶ所を切断する3種類のsgRNAを用いることで、計5つのCD163遺伝子欠損細胞株の樹立に成功した。 2.MMPのPEFを用いて、CD163の本来のスカベンジャー機能は保存し、レセプター機能を削除するために、CD163のSRCR5ドメインのレセプター活性に関与する3つのアミノ酸に点変異を導入するためのssDNA及びレセプター活性のないマウスのSRCR5のアミノ酸配列に置換するためのssDNAと1で使用した3種類のsgRNAを用いてゲノム編集を実施したが、目的の細胞株を樹立することは出来なかった。 3. PEFからのiPS細胞への誘導を試みるため、エピソーマルベクターを使用して実施したが、ES細胞様コロニーは出現するが細胞のクローニング後の増殖に成功しなかった。また、アルカリフォスファターゼ染色は、弱陽性であった。 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1. CD163のレセプター活性を有する各ドメインを欠損する細胞株の樹立が遅れている。 2. エピソーマルベクターを使用して、マイクロミニピッグ(MMP)の胎仔線維芽細胞(PEF)からのiPS細胞への誘導を試みているが、アルカリフォスファターゼ染色弱陽性のES細胞様コロニーは出現するが細胞のクローニング後の増殖に成功しておらず、研究が遅れている。 3.本研究と研究内容が近い豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)抵抗性ブタの開発に関する研究成果が、他の研究グループより発表された。本研究遂行上、当該成果を踏まえてゲノム編集方法を再検討し、感染防御に重要とされるCD163のアミノ酸について調査を実施した上で、重要なアミノ酸の点変異導入用プラスミドを構築し、ブタ線維芽細胞のゲノム編集をやり直す必要が生じた。 4. CD163遺伝子ノックアウトブタがASFウイルスに感染することが報告されたので、新たにASFウイルス抵抗性遺伝子の候補を探索する必要性が生じた。 以上が、遅れていると判断した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 平成30年度に引き続きマイクロミニピッグ(MMP)の胎仔線維芽細胞(PEF)を用いて、CD163の本来のスカベンジャー機能は保存し、レセプター機能を削除するゲノム編集を実施する。このために、ssDNAを用いたゲノム編集により、レセプター活性に関与するアミノ酸に点変異を導入した細胞株を樹立する。 2. CD163遺伝子ノックアウトブタがアフリカ豚コレラ(ASF)ウイルスに感染することが報告されたので、新たにASFウイルスの増殖に重要な役割を果たすRab7に着目し、このdominant-negative mutantを発現する細胞株を樹立する。 3. 平成30年度に引き続き、PEFからのiPS細胞への誘導を試みるが、今年度は遺伝子導入をプラスミドからレトロウイルスベクターに変えて実施する。 4.ゲノム編集PEF由来体細胞クローン胚を仮親ブタに移植し、CD163及びRab7ゲノム編集MMP体細胞クローン個体を作出する。 5. 目的のゲノム編集細胞が樹立できない場合は、MMPの受精卵を使用して、ゲノム編集MMPの作出を検討する。
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