2018 Fiscal Year Annual Research Report
脂質分布ナノスケール解析技術確立による生体膜脂質トポロジー形成の生物学的意義解明
Project/Area Number |
17H03935
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤田 秋一 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (60282232)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
叶内 宏明 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (10351884)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 脂質 / 電子顕微鏡 / 凍結割断レプリカ / 急速凍結 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは形態的特徴からマクロオートファジー、ミクロオートファジー、シャペロン介在性オートファジーに分類される。この内、特徴的な二重膜構造であるオートファゴソームを形成するマクロオートファジーにおいては、種々の遺伝的解析の結果、複数のオートファジー関連蛋白(ATG)とその働きが解明されており、分子メカニズムの総合的な理解が進んでいる。これに対し、リソソーム(液胞)膜が陥入して起こるミクロオートファジーの明確なメカニズムの詳細、特に分子機序には不明な点が多い。本研究では、ミクロオートファジーにおけるホスファチジルイノシトール4キナーゼ(PI4K)の役割を検討した。PI(4)Pはミクロオートファジー小胞のP面(細胞質側)に局在しており、液胞膜が脂肪滴を飲み込むことでミクロオートファジー小胞が形成されることが分かった。stt4ts,pik1ts酵母を用いた実験においては、それぞれの活性抑制温度ではミクロオートファジー小胞の数とサイズが劇的に減少した。更に、飢餓状態で同様の実験を行うと、ミクロオートファジー小胞はほとんど観察されなかった。以上のことから、次のことが考えられる。(1)PI4Kの内Stt4p,Pik1pは、どちらも液胞膜のミクロオートファジーに必須である。(2)PI(4)Pは液胞膜では膜内粒子の少ないラフト様ドメインに分布しており、今回明らかになったミクロオートファジー小胞におけるPI(4)Pの分布と合わせて、脂肪滴からのステロール輸送、液胞膜のラフト様ドメインの拡張に働いていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホスファチジルセリン(PS)およびイノシトールリン脂質であるPI(4)PとPI(3)Pの凍結割断レプリカ標識法を新たに開発し、現在、哺乳類細胞および酵母細胞の細胞膜、種々の細胞内小器官およびオートファゴソームにおける各リン脂質の微細局在を検討中である。現在、これらの各種器官での生体膜における各リン脂質の役割と微細分布の関係を検討中であり、我々の研究はおおむね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たにホスファチジルエタノールアミン(PE)およびコレステロールの凍結割断レプリカ標識法を開発し、哺乳類細胞および酵母細胞の細胞膜、種々の細胞内小器官およびオートファゴソームにおける各種脂質の微細局在を検討し、細胞膜および細胞内の各種小器官でのリン脂質の役割を明らかにする予定である。特に、マクロオートファジーおよびミクロオートファジーにおけるイノシトールリン脂質のPI4PとPI3Pの微細局在を明らかにし、PI-4キナーゼとPI-3キナーゼのオートファジーにおける役割を検討し、その関係を解明することを予定している。
|
Research Products
(9 results)