2018 Fiscal Year Annual Research Report
Visualization and regulation of authentic totipotent cells
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17H03939
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 肇伸 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80403202)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全能性細胞 / 着床前胚 / 幹細胞 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、MuERV-LのLTRの下流にtdTomatoを発現するプラスミドを作製し、ES細胞に遺伝子導入することにより、MuERV-Lの発現を可視化できる安定細胞株を得ている。このES細胞を用いて培養条件の検討を行い、FCSの代わりKSR(Knockout Serum Replacement)を用いることにより、MuERV-L陽性細胞の割合が大幅に増加することを明らかにしている(0.1%から最大20%)。 今年度は、KSRの類似品であるSSR(StemSure Serum Replacement)を用いた場合にも、MuERV-L陽性細胞が効率よく誘導されることを明らかにした。また、SSRの製造・販売元である和光純薬工業よりSSRの組成を開示していただき、SSRが無機塩、微量元素、アミノ酸、ビタミン、および数種の生理活性物質からなるとの情報を得た。そこで、SSRの構成成分からチアミン、アスコルビン酸、またはインシュリンを含まないSSRを作成し、MuERV-Lの発現に及ぼす影響を検討した。その結果、アスコルビン酸はMuERV-L陽性細胞の誘導を促進し、インシュリンは抑制的に働くことが明らかとなった。次に、MuERV-L陽性細胞の遺伝子発現を網羅的に解析するために、MuERV-L陽性細胞をソーティングし、RNA-seqを行った。その結果、MuERV-L陰性細胞とKSRまたはSSRで誘導したMuERV-L陽性細胞の遺伝子発現を比較すると、MuERV-L陽性細胞において解糖系に関連する遺伝子発現が顕著に低下しているのに対して、TCA回路や酸化的リン酸化に関与する遺伝子の発現にはほとんど変化が認められないことが示された。これらのことから、MuERV-L陰性細胞と陽性細胞では、エネルギー代謝経路の変換が生じる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、KSRに含まれるアスコルビン酸とインシュリンがMuERV-L陽性細胞の誘導に深く関与することを明らかにできた。また、RNA-seqにより、多能性細胞から全能性細胞の変換にはエネルギー代謝経路の変換を伴うことを示唆できた。これらの成果は、全能性細胞を安定的に増殖させる方法の開発に非常に有用であると考えられる。一方で、複数のマーカーを用いた「真の全能性細胞」の同定には至っていない。これらのことから、研究全体を通して判断した場合に本研究課題は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、複数のマーカーを用いた「真の全能性細胞」の同定に注力する。また、MuERV-L陰性細胞とKSRまたはSSRで誘導したMuERV-L陽性細胞の遺伝子発現を比較すると、MuERV-L陽性細胞において解糖系に関連する遺伝子発現が顕著に低下しているのに対して、TCA回路や酸化的リン酸化に関与する遺伝子の発現にはほとんど変化が認められないことを明らかにしている。今年度は、細胞の分化能とエネルギー代謝経路の関係について阻害剤やRNAiを用いた機能阻害実験により明らかにしていく予定である。
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Research Products
(14 results)