2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of plant parasitic nematode infection mechanisms
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17H03967
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
澤 進一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00315748)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植物感染性センチュウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず植物の線虫誘引・忌避物質の同定を目指している。また、線虫感染に関わる植物側因子の解析を進め、線虫感染機構の全体像を明らかにすることを第一目標としている。 これまでに、センチュウの誘引物質の単離のために、シロイヌナズナの種子が利用できることが明らかとなった。シロイヌナズナの種子ムシゲルには、線虫誘引活性が有り、PFゲル上で、線虫誘引活性を示す。また、種子を種皮と胚に解剖して誘引活性を試験したところ、種皮に誘引活性が有ることが明らかとなった。さらに、ムシゲルが精製できない突然変異体シロイヌナズナ等の種子では、線虫誘引活性が見られなかった。これらのことから、種皮から分泌されるムシゲルに誘引活性が有ることが明らかとなった。一方、植物側因子の探索として、センチュウのエフェクター蛋白質を回収し、その同定を進めている。 一方、作物生産への応用研究も行っている。 誘引・忌避物質の同定により、線虫トラップの開発や、線虫を作物に寄せ付けない農業技術の開発等、応用研究を展開する。そのために、誘引剤を浸潤させたようなセンチュウホイホイを開発中で、センチュウのトラップ用の穴を開けた様々な種類のセラミックスを作成し、今後、その評価を行う予定である。さらに、線虫感染機構の知見を応用し、線虫感染抵抗性品種を作出し、評価まで行う。これまでに、シロイヌナズナのara6突然変異体はセンチュウ感染抵抗性を示すことが我々の試験でわかっている。このことから、トマトのara6突然変異体をCRISPR技術により作成中である。形質転換体が確立次第、センチュウ感染抵抗性試験を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下のような研究項目を計画し、実施しているが、それぞれについて、順調に結果がでており、概ね順調に進展している。 1:線虫誘引・忌避物質の同定と農学的線虫対策応用研究(基礎研究・応用研究) I: ダイズの根端抽出液を大量に調整し、誘引物質を精製する。 II: 種子ムシゲルの誘引物質の同定と、その構造の多様性について、多種植物を用いて解析する。 III: ケミカルライブラリーを用いた線虫誘引・忌避物質の同定を行う。IV: 圃場を用いて、誘引・忌避物質を利用した、線虫感染低減のための農業技術開発を行う。 2:線虫感染に関わる植物側遺伝子の分子機構の解明(基礎研究) I: エフェクター遺伝子の植物内での分子機構の解明(シロイヌナズナ):既に我々が同定しているエフェクター蛋白質、MJD15とMSP7の植物細胞内ターゲット因子として、これまでに、それぞれ、MAPKKKとB3転写因子を見出している。本研究では、これらのシグナル伝達因子群の分子遺伝学的機能解析を行う。II: 高温による線虫抵抗性打破の分子機構の解明(トマト);トマトのMi線虫抵抗性系統(農業品種)は、高温処理で抵抗性が打破される。そこで、高温経験時のエピジェネティックな状態をゲノムワイドに解析する。また、RNAの発現パターンも網羅的に調査し、併せて解析することで、高温による線虫感染抵抗性打破機構を解明する。III: EMS,γ線由来の線虫感染抵抗性作物系統のスクリーニング;Mi線虫抵抗性トマトにも感染するような強力な感染力を持つMi線虫感染抵抗性を打破する線虫系統が世界各地で出現し、問題になっている。そこで、トマトとキュウリの変異源処理済みラインに、Mi線虫抵抗性打破線虫を感染させ、線虫感染抵抗性を示す作物系統の選抜を行う。 3:線虫抵抗性トマトの作出とその農学的評価
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの研究項目について、順次、研究を進めていく。 特に、線虫誘引物質の同定は予想以上に進んでおり、論文執筆を進めていく。また、誘引物質を浸潤させたセラミックスは、プレート内では、センチュウ誘引活性を示せており、今後、ポット栽培や圃場での試験を行い、より、農業現場に近い状況での有用性を明らかにして、実装に近づけたいと考えている。 また、センチュウエフェクター蛋白質も、候補を単離後、シロイヌナズナの結合因子の同定と、その遺伝学的解析が進んでおり、H31年度中には論文としてまとめたいと考えている。 抵抗性トマトの作出についても、CRISPR変異体の候補は得られており、現在、系統化を進めているところである。本年度は、ホモ個体が完成する予定であるので、種子が得られ次第、センチュウ感染抵抗性試験を行い、その効果を検証したいと考えている。
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[Journal Article] A collection of mutants for CLE-peptide-encoding genes in Arabidopsis generated by CRISPR/Cas9 mediated gene targeting2017
Author(s)
Ishida, T., Yamaguchi, Y., Yoshimura, M., Imamura, Y., Shimaoka, C., and Sawa, S.
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Journal Title
Plant Cell Physiol.
Volume: 58
Pages: 1848-1856
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Root-knot and cyst nematodes activate procambium-associated genes in Arabidopsis roots.2017
Author(s)
Yamaguchi, Y., Suzuki, R., Cabrera J., Nakagami, S., Sagara, T., Ejima C., Sano, R., Aoki, Y., Olmo, R., Kurata, T., Obayashi T., Demura, T., Ishida, T., Escobar, C., and Sawa, S.
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Journal Title
Frontiers in Plant Science
Volume: 8
Pages: 1195
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Chloroplastic ATP synthase builds up proton motive force for preventing reactive oxygen species production in photosystemI.2017
Author(s)
Takagi D., Amako, K., Hashiguchi M., Fukaki, H., Ishizaki, K., Goh T., Fukao Y., Sano, R., Kurata, T., Demura, T., Sawa, S., and Miyake C.
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Journal Title
Plant J.
Volume: 91
Pages: 306-324
DOI
Peer Reviewed
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