2017 Fiscal Year Annual Research Report
Medicinal Chemistry Based on the Total Synthesis of Polycyclic Alkaloids
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17H03969
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 篤司 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80130029)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルカロイド / ヒドロカルバゾール / カルバゾマイシン / ランドリン / 不斉Diels-Alder反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)コプシアアルカロイド合成に関する研究;スピロ中間体の汎用性の高い合成法の効率化を目指し検討を行った。又、ランドリン類を基本骨格とする新たなプローブ合成を視野に入れて基本骨格のハロゲン化を検討した。オタワ大学化学科John Pezacki教授を訪問しラセミ体ランドリンの生物活性発現機構の解明に向けた調査研究を開始し、ランドリンが細胞のDNA発言に影響することを見いだした。 2)ヒドロカルバゾール系天然物の不斉合成研究を継続し、天然物である(1R,2R,3R)-3-hydroxy-1,2-dimethyl-1,2,3,9-tetrahydro-4H-carbazol-4-oneを不斉合成し、天然物の絶対配置を決定した。本化合物は韓国およびタイの研究者により異なるリソースより同じ骨格を有するものの鏡像異性体(エナンチオマー)が単離されていた。また単離された化合物のスペクトルデータの一部に差違が見られ、比旋光度の絶対値も異なっていた。今回、我々が開発した不斉Diels-Alder反応を用いて光学活性ヒドロカルバゾール骨格を構築後、官能基変換を経て目的物の不斉全合成を達成した。また同様のDiels-Alder反応をもちいて抗菌作用および抗マラリア作用が報告されているカルバゾマイシンAおよびBの全合成を達成した。 3)我々が開発したシロキシジエンを用いる不斉Diels-Alder反応において従来用いてきた希土類金属錯体はX-線結晶解析が困難であった。今回新たに開発した光学活性希土類金属錯体は結晶性が高く錯体構造を解明できた。さらに本錯体が不斉Diels-Alder反応を触媒し高収率にて付加体を与えることが判明した。錯体構造が判明したことにより不斉誘導経路の解析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に成果が得られ、学会発表(16件)、論文発表(5件)することができた。 特筆すべき成果として新たなヒドロカルバゾール天然物の不斉全合成に成功し、絶対配置を含む構造照明を達成した。 抗菌作用を有するカルバゾマイシン類の全合成を達成した。 新たな不斉触媒開発としてビビリジル構造を有するキラル配位子を開発し希土類金属との錯体形成に成功した。得られた新規キラル希土類金属錯体は、X線結晶構造解析により錯体構造が明らかとなり、また当研究室で開発した不斉Diels-Alder反応に効果的あることが示された。錯体構造より不斉誘導機構について考察することが可能となった。 以上の成果より、本プログラムが概ね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究方針を継続し、更に海外との協同研究を進展させる。 アルカロイド合成においては不斉Diels-Alder反応を基盤とし、光学活性付加環化中間体の誘導体化を進め、新たなヒドロカルバゾール及びヒドロインドール誘導体の合成研究を展開する。海外研究機関との共同研究により、合成したアルカロイド活性評価、活性発現機構の調査を行う。 新たな不斉触媒の開発研究ではこれまで構造解明が遅れているキラル希土類金属錯体の構造決定を精力的に進め、かつ反応適用範囲の拡大に努める。
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