2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Radicalomics Technique
Project/Area Number |
17H03977
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 健一 九州大学, 薬学研究院, 教授 (60346806)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薬学 / 分析科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、活性酸素と疾患発症に関する研究が精力的になされてきた。しかしながら、これら活性酸素が作用する生体内分子、脂質・蛋白質との反応により生成するラジカル中間体に関する研究はほとんど進んでいない。そこで本研究では、「脂質・蛋白質ラジカルなど高分子化合物の新しい検出・構造解析技術開発」を目的としている。本年度は、1)生体利用可能な高感度・高機能性プローブの開発、2)モデル実験系を用いた方法論の検証、の2点を併行して実施した。 1)生体利用可能な高感度・高機能性プローブの開発 これまで開発してきた水溶性高分子ラジカル検出プローブをさらに改良した。その結果、以下モデル系で高分子ラジカルの検出に成功した。 2)モデル系を用いた方法論の検証 本プローブと蛋白質ラジカルは、ラジカルーラジカル反応にて共有結合し蛍光発光する。そこで、アルブミンを鉄あるいは銅にて酸化刺激したところ、電気泳動後も蛍光発光を示し、確かに蛋白質ラジカルを検出できることがわかった。一方で、DNAも酸化障害により、炎症や細胞死、さらには疾患に関与することが報告されている。しかしながら、実際にDNAラジカルを検出した報告はほとんどない。そこで、まずヌクレオチドを用いて検討したところ、本プローブを用いることで酸化刺激時生成するヌクレオチドラジカルの検出に成功した。 以上の結果より、これまで報告してきた脂質ラジカルのみならず、蛋白質ラジカル、ヌクレオチドラジカルの検出に成功し、本研究の主目的であるラジカロミクスの提案に大きく近づいたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、モデル実験系を用いて、蛋白質ラジカル、DNAラジカルの検出に成功しており、本研究の主目的であるラジカロミクス研究の提案に大きく近づいたと言える。すなわち、現時点で、提案した研究項目はほぼ順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の項目を重点的に進める。 (1)生体利用可能な高感度・高機能性プローブ開発:開発したプローブを用いてモデル系に応用し顕彰するとともに、検出に適した改良も行う。 (2)高分子ラジカル構造解析技術開発:蛋白質、ヌクレオチド、さらにはオリゴマーやDNAなどに応用し、刺激の種類により生成する分子種が異なるのか、モデル実験系を用いて技術開発を進める。 (3)疾患モデルを用いた方法論の検証:実際に疾患モデル動物に適用し、方法論の検証を行う。
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Research Products
(18 results)