2018 Fiscal Year Annual Research Report
全脳イメージング法による精神疾患の病態と治療機序の新たな薬理学的研究法の確立
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17H03989
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30240849)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 全脳 / FAST / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、最新の全脳イメージング法FASTを用いて、精神疾患モデル動物脳の神経活動を全脳細胞レベルで解析し、疾患病態と治療薬機序を解明する新たな薬理学的研究法の確立することを目的としている。本年度は、疾患病態の新たな解析手法を確立するため、様々な精神疾患モデルマウスを作成し、全脳から脳領域毎の構造および神経活動を標識・評価し、以下の結果を得た。 1)ヒト型発達障害モデルマウスの全脳活動マッピング等を実施し、特定の脳領域の活動異常を見出した。 2)神経活動レポーターマウスであるArc-dVenusマウスを用いて、社会性行動障害を示す発達障害モデルマウスを作成し、全脳活動マッピングを実施した。発達障害モデル脳ではdVenus陽性細胞が増加していたものの、複数個体から得られた活動マップをグラフ理論および機械学習により解析したところ、正常マウス脳と比較して機能的結合が低下していることを明らかにした。さらに、行動異常を改善する薬物を投与したところ、正常脳と同程度まで機能的結合性が回復することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、複数の精神疾患モデルマウスの全脳活動マッピングを実施し、特定の脳領域の異常を検出したほか、機能的結合の変化を捉えることに成功した。また、治療薬により、行動のみならず、神経活動の変化も回復させることを明らかにしたことから、中枢創薬の新たな治療薬の評価法としても有用であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、画像処理の高速化・自動区画化などを実施し、より汎用性の高い評価方法を確立することを目指す。
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Research Products
(8 results)