2017 Fiscal Year Annual Research Report
Search and function elucidation of highly active natural products targeting cancer microenvironmental signals
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17H03992
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (90212927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 緑 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40373261)
石川 直樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (20748826)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生理活性 / シグナル伝達 / 生体分子 / 有機化学 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,がん幹細胞の生存と適度な分裂を支える「がん微小環境」を標的とし,がん微小環境で亢進するシグナル分子をターゲットとして,その機能を抑制し正常化を促進する高活性低分子化合物を天然物から探索し,その機能を解明することを目的としており,そのような標的シグナルとして,幹細胞の自己複製に関わるウィント(Wnt),ヘッジホッグ(Hh),およびトレイル(TRAIL)シグナル等を対象としたスクリーニングを行った. 1)Wntシグナル阻害作用をもつ天然物のスクリーニングの結果,ヒマシ粕(Ricinus communis)からWntシグナル阻害作用をもつリグナン型化合物とフラボノイド配糖体を1種ずつ単離した.一方,センダン科植物成分として知られるロカグラミド誘導体についての合成研究を行い,ヘテロ環を含む一連の誘導体の中から,顕著なWntシグナル阻害作用を示す化合物を見出した. 2)ショウガ科Boesenbergia pandurataの根茎からTRAIL耐性克服作用を示す3種の新規イソピマラン型ジテルペン(boesenberol I, J, K)と2種の既知ジテルペンを単離し,各種スペクトルデータの解析に基づきそれらの構造を決定した.これらの5つの化合物はヒト胃がんAGS細胞に対して顕著なTRAIL耐性克服作用を示した. 3)エピジェネティック遺伝子転写を制御するポリコーム構成分子の一つであるBMI1のプロモーター阻害作用に関するスクリーニングを行い,キョウチクトウ科植物Beaumontia murtoniiから活性成分としてカルデノリド配糖体を単離した.本化合物はヒト結腸腺がん細胞HCT116に対する細胞毒性を示し,BMI1タンパク質を減少させた他,ヒト肝がん細胞Huh7のスフェア形成を抑制し,がん幹細胞性を減少させることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wnt,Hedgehog, TRAIL, Notch, およびBMI1シグナル等に対するスクリーニング研究の成果として,タイおよびバングラデシュ産植物,および放線菌からから数多くの活性化合物を単離した.それらの中には新規化合物も数種含まれていた.また,数種の代表的な活性成分に対する作用機構の解析を行い,興味深い知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
Wnt,Hedgehog, TRAIL, Notch, およびBMI1シグナル経路等に関してさらに継続してスクリーニング研究を行っていく.これまでに得られた活性成分の中から,とくに興味深い作用を示すことが期待される代表的な化合物を数種選別し,それらについての作用メカニズムを分子レベルで解析する実験をさらに進展させる.とくに,Wntシグナル阻害作用をもつロカグラミド類やBMI1プロモーター阻害作用をもつマクロリド等についてシグナル経路の構成分子への影響や標的分子解明に向けて検討する.
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