2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規セレン化合物セレノネインの全合成とその物理化学的・生物学的評価
Project/Area Number |
17H04001
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 紀行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (10376379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 康光 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (40292677)
阿南 弥寿美 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (40403860)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | セレニウム / 酸化ストレス / 金属毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規セレン化合物セレノネインは、これまでに報告されているセレンを含有する様々な天然物とは全く異なった構造を有している。そのため、海棲生物の体内でどのような役割を担っているのか、ヒトが摂取した際にどのように代謝・排泄されるのか、毒性学的・栄養学的意義はどうか、など多くの観点から議論の対象となっている。本研究は、このセレノネインを合成し、物理化学的・生化学的・生物学的特性を詳細に解析することで、その存在意義を明らかにすることを目的とする。 令和元年度においては、前年度までに遺伝子操作麹菌より得たセレノネインを用い、その細胞増殖促進能に関する検討を行った。細胞培養の際には培地に添加する血清中に増殖に必須な成分が含まれているが、血清の代替としてインシュリン、トランスフェリン、セレンの3要素(ITS)を添加することで細胞培養を行うことが可能である。その際、通常はセレン化合物として亜セレン酸が用いられるが、本検討においては、セレノネインのセレン栄養源としての機能を評価すべく、細胞培養の際に用いる血清の代替としてセレノネインが機能し得るかを検討した。通常の培養条件である10% FBS、無血清条件として0.1%FBS、また0.1%FBSにインシュリン(I)とトランスフェリン(T)を添加した条件、さらにITに加えて亜セレン酸またはセレノネインを添加した条件において細胞増殖速度を比較検討した。その結果、亜セレン酸、セレノネインともにセレン源として効果的に作用し細胞の生存率を回復するという効果が確認された。また、亜セレン酸処理群においては濃度依存的に細胞毒性の発現が認められた一方、セレノネイン処理群においては細胞増殖促進効果のみが認められ、細胞毒性は確認されなかった。以上のことからセレノネインは、高用量においても毒性を示さない、安全なセレン栄養源としての可能性を有していると言える。
|
Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
|